切腹する日までの10年間、秋谷は正義を貫き通した。それ故に、その日、秋谷の死がもたらしたのは「彼への矜持」に他ならないのだろう。郡奉行を務めていた秋谷が40過ぎに家督争いに巻き込まれ、側室を救ったことで10年後の切腹を言い渡される。もう一人の側室の由緒の問題により切腹にまで話が拡大する。秋谷は10年間「家譜の編纂」を命じられ、その由緒を明らかにした。しかし、秋谷はそれを盾にして切腹を回避することはしない。秋谷の正義は憎しみの連鎖を断ち切ることにあったのだ。残された者が秋谷の生き様を証明するに違いない。
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カテゴリ:
不条理
- 感想投稿日 : 2020年9月20日
- 読了日 : 2020年9月20日
- 本棚登録日 : 2020年9月20日
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