漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2014年4月10日発売)
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2020年7月21日読了。

さまざまな糞男たちに騙されて、紆余曲折ありながら北陸の港町までやってきてしまった菊子。通称『肉子ちゃん』
肉子ちゃんはデブでブスで貧乏でちょっと頭が悪いけど、底なしに明るい38歳。
そして、その娘の喜久子。通称『キクりん』
キクりんは肉子ちゃんとは対照的に、スラッとした美人で冷静な小学5年生の女の子。
苗字は『見須子(みすじ)』、母娘とも名前はきくこ。変わった親子である。

そんな肉子ちゃんは、漁港にある焼肉屋『うをがし』で働いている。
店の主人のサッサンや、常連客のゼンジさんや金子さん。
商店街の鍵屋のマキさん、お茶屋さんの重松の奥さん。
キクりんの同級生のマリアちゃんや二宮。
ペンギンのカンコちゃん。

肉子ちゃんとキクりんとたくさんの港町の人々とのほのぼのとしたふれあいを描いた物語。


ここ何冊か、重く暗い内容の本が続いていたので少しほのぼの系を。
物語の初めは、肉子ちゃんとキクりんの他愛もない生活の様子や港町の面白い話が続き、クスりと笑える場面が多かった。
このままグダグダ終わるのかと思いきや、中盤からキクりんの学校での問題や、肉子ちゃんの過去の話など展開があり、
終盤、サッサンとキクりんの語り合いの場面では思わず涙。

肉子ちゃんはだいぶめんどくさいキャラだけど、周りからどう見られ、どう思われていようが自分は自分なんだとありのまま生きている様が強いな〜と感じるし、羨ましくさえ思えてくる。
だが、解説の『ありのままは憧れるものではなくて、今、もう既にここにある。』という言葉を読んでなんだか納得した。
羨望するのではなく、自分は自分らしくいればそれでいいのだと思う。


港町は宮城県石巻市がモデルになってるそうだが、作中に出てくる会話文はほぼ全てコテコテの新潟弁である。
新潟の人はあまりの新潟弁に驚く事だろう。
こんなにもコッテコテの新潟弁を喋る小学生は恐らく現代には存在しないでしょう笑

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月21日
読了日 : 2020年7月21日
本棚登録日 : 2020年7月17日

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