期待通りに面白かった。やっぱり川上先生本もハズレなし。
ほんとにヲタツボがものすごい範囲で被ってるので、細かい例えや形容が尽く刺さってくる。
「例えば、左手がサイコガンとなった動物の集団がいるとしよう。サイコガンは精神エネルギーを弾丸として撃ち出す器官であり、他種を容易に制圧できる生存上有利な形質と言える。
突然変異によりサイコガンを持つ個体が集団内に出現すれば、他個体よりも長生きでき配偶相手にも恵まれ、より多くの子孫を残せる。その結果、この形質は集団内に速やかに広がり、全個体がサイコガンを持つ種が生じると考えられる。
このように、生物学では現代に存在する条件から進化の歴史を推定してきた。」
これは、非常にわかりやすく、萌え要素満点の説明文(笑)。
こんな感じで本当にエキサイティングでアンダスタンダブルな文章が怒涛のように攻めてくる。そして、笑い、楽しみながら鳥や環境に詳しくなる。
メインは島嶼の研究活動の話ではあるが、川上先生のブレインストーミングをちら覗きしているような感じ。特に多くの人に読んでほしいな、と思うのは絶滅危惧という言葉について考察するくだり。
そして、名言、名文章も多い。
「おわりに 鳥類学者の役と得」の9ページは必読。授業で使いたいぐらいである。
「なぜ自然を守るのですか?」
『生物の絶滅とは、この「知」の源泉となる存在をこの世界から永遠に消し去ることを意味する。未読の書籍を火にくべる焚書にも等しき行為だ。』
オガサワラカワラヒワがサバイブするよう、祈った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
nature
- 感想投稿日 : 2021年4月18日
- 読了日 : 2021年4月18日
- 本棚登録日 : 2021年4月18日
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