僕らが死体を拾うわけ 僕と僕らの博物誌 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2011年3月9日発売)
4.44
  • (19)
  • (8)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 175
感想 : 24
5

ものすごく面白かった。ほぼ全ページに挿絵があり、標本好きのための絵本のような感じになっている。ところどころ、思うところはあるが、まあスタンスの違いなので、批判はしない。いろいろな生物や植物の標本を採取(言い換えると、死体拾い)し、自然を観察し、人間(生徒など)も含めて観察し、スケッチをのこしている。私も同じく標本を拾い、剥製を作る者として、興味深い箇所がたくさんあった。そのなかでも、
さすがにこれはすごい、と思ったのがp240
あるバンダーさんが、自宅近くの林での標識調査をしようとしていたら、白骨化しかけた人間の死体を発見した話。調査中に発見、というのは聞くはなしではあるが、自分が発見したくないものの筆頭です。発見した後の手続きなども含めて、本当に発見したくない。
そのバンダーさん曰く、
「盛口さん、死体すきでしょ。よっぽど電話して見に来るかどうか聞こうと思ったんだけど。絵を描きたかった?」
ある意味、人間も動物も平等、というエモーションを感じる。筆者は「人間のはダメなんです」と、断った、というEP。
その後は標識調査の見学のスケッチなどになる。
筆者が長年みたかったシラミバエをつかまえて、
興奮する様子が生き生きと描かれていて、
しかも”シラミバエちゃん”と、愛を感じるちゃん付で、
なんとも、知りあいにこう言う人おるな、、と思いながら
楽しく読了した。
昆虫や、死体全般苦手な人にはおすすめしないです。
が、博物学に興味のある人は一読をおすすめしたい。
ティーンにもおすすめ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: nature
感想投稿日 : 2022年2月10日
読了日 : 2022年2月10日
本棚登録日 : 2022年2月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする