アメリカのデモクラシ- (第1巻 上) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2005年11月16日発売)
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1800年代にフランスの政治家トクヴィルが米国に渡り、米国社会の仕組み、米国人行動をつぶさに分析した結果を「米国論」として纏めたもの。
米国を表わす最も適当なコンセプトが民主的(デモクラシー)ということになる。
当時、欧州からみると米国は壮大な実験の場であり、また将来の自らを占う国として大きな関心が持たれていたのだと思う。本著は古典の部類に入るのかもしれないが、現在の米国社会を考える上でも参考になる考察が数多く見出すことができ、大いに参考になった。

国は人間の成長と同じだという。子供の頃からの成長の過程を見ることで、今の自分を判断できるように、”米国は、一大国民の出発点を明瞭に認識することのできた唯一の国である”。
例えば、米国を創ったのは母国英国を捨てた清教徒であり、そのニューイングランドの気風が全国に拡がり、国の精神を作ったとしている。
確かに、今も米国人は宗教心に厚く、正義・公正を重んじる傾向があり、それはこの生い立ちに繋がってくるものだと納得した。
また、自由、平等はまさに母国での差別から逃れてきたこと人々にとって最も重んじられているものであり、それが法制度等、社会の仕組みに埋め込まれていることにも必然性を感じる。
その他、地方自治、連邦制度、大統領制、司法制等、米国の社会の特徴を米国の生い立ちから紐解き、その趣旨を理解することができ、大変興味深い内容になっている。

以下引用~
・アメリカでは逆に、郡より前に自治体が、州より前に郡が、そして連邦より前に週が組織されたと言うことができる。
・アメリカでは両者をいわば混ぜ合わせ、見事に結びつけることに成功したのである。すなわち、私が言うのは宗教の精神と自由の精神のことである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2015年3月8日
読了日 : 2015年3月8日
本棚登録日 : 2015年3月8日

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