日本におけるジャーナリストの草分け的存在でもある徳富蘇峰の生涯を著したもの。徳富蘇峰はジャーナリストの他にも、思想家、歴史家、政治家として明治~昭和にかけて影響力の与えてきた人物。
また副題にもある通り、本著では日本のナショナリズムの変遷がうまく整理されており、その意味でも一読の価値あり。
以下引用
・蘇峰の弱点は、脱亜を断念した後も、脱亜論の目できかアジアを見ることができなかった点にある。それは欧米に対して正当な認知をもとめながら、アジアの「他者」が同じ欲求をもつことは認識できなかったということである。換言すれば、欧米が日本の国民的自尊心を傷つける事には敏感でも、アジア諸国の「傷つけられた自尊心」には無関心だった。くり返せば、アジアの他者には欧米と同じ立場で、脱亜の姿勢のまま対処したのである。
・現在を歴史のパースペクティブで観るとともに、過去を現在の問題意識で読み直すのが、言論人としての蘇峰の一貫した方法だった。
・明治国家の対外問題、リベラリズム、富国強兵の課題を西郷・木戸・大久保がそれぞれに体現しており、かれらが抱えた課題が日露戦争の勝利によってほぼ実現したと(蘇峰は)考えたのである。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2013年12月16日
- 読了日 : 2013年12月16日
- 本棚登録日 : 2013年12月15日
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