クレイグ・ライスが好きで訳出されているものはすべて読んだ、つもり。なんといってもマローンとジェイク、ヘレン夫妻の傍若無人な無類のかけ合い。冴えない弁護士に見えつつも実は冴えわたるマローンの推理と謎解き。ミステリとしても一級品でどれをとってもはずれがない。文庫化されているものは読みつくしたものの、ノベルズ判のこれが残っていたというのが何という幸運。というわけで小口の黄色いハヤカワノベルスを久々に買った。今でもこのシリーズ健在なんだなあ。しかしこのタイトルはなんとかならんもんか。訳者あとがきに苦心のタイトルと書いてあったけど、作品としては悪くないのに文庫化されていない理由がこのへんにあるのかも。これではライスファン以外への訴求性がなさすぎ。
1957年の作品というのに、体の各パーツ専業スタッフを合成して作り上げられた宣伝用アイドルキャラクターという現代的な設定には驚く。その各パーツが切断されて送りつけられるというのが戦慄の幕開けで、誰が何のために誰を殺して...、という謎解きを依頼されたマローンがこけつまろびつヘレンやジェイクを巻き込み巻き込まれしつつ事件を解決する。ジェイクもヘレンも今回はわりとおとなしいのがちょっと物足りないけれど、マローンのドタバタは相変わらずで楽しめる。さてこの先に読むものはあるんだろうか...。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2014年4月27日
- 読了日 : 2014年4月23日
- 本棚登録日 : 2014年4月27日
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