名探偵カッレとスパイ団 (岩波少年文庫 123)

  • 岩波書店 (2007年5月16日発売)
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感想 : 17
5

カッレくんシリーズ3冊目にして最終巻。

宝石強盗、高利貸し殺人の解決に協力した少年名探偵カッレくんだが、今は平穏な夏休みを満喫していた。
アンデスを隊長として、カッレ、エーヴァ・ロッタから成る白バラ軍と、シックステンを隊長として、ユンテ、ベンカから成る赤バラ軍のバラ戦争は、夏になると再開された。その最中に白バラ軍3人は夏の間だけ町に来ていた工学博士のラスムソン教授と、5歳の息子ラスムスと知り合う。
両バラ軍たちは、夜の城跡で決闘から墜落未遂事故…などの相変わらずの子供時代のスリルを楽しんでいた。
しかし白バラ3人は、夜の城跡からの帰り道で、ラスムソン親子が妖しい男たちに誘拐される場面を目撃する。「坊やを不安がらせたくない」と咄嗟に誘拐犯の車に乗り込むエーヴァ・ロッタと、その車を必死で追跡するカッレとアンデス。
そして誘拐犯のアジトの小島に辿り着く。
カッレたちは犯人に見つからずに教授とラスムスを助けられるのか?!

***

誘拐事件ではありますが、目的が教授の発明した軍需工業研究であったり、
カッレ達がいなければ教授親子は外国に連れ去られ軍事研究をやらされたり殺されたであろうという背景を考えるとかなり深刻な事件です。
そんななかでも、カッレとアンデスが島の中に犯人たちに見つからない隠れ場所を作ったり、
無邪気な少年ラスムスに愛情を覚える誘拐犯グループの一人のニッケがいたり、
そのニッケを困らせるエーヴァ・ロッタや少年ラスムスの姿は少年冒険譚として楽しい場面となっています。
白バラ軍3人や教授、ニッケは皆で少年ラスムスに「これはゲームだ」と思わせようとしていますが、映画「ライフ・イズ・ビューティフル」を思い出して何とも切ない気分になりました。「カッレくん」は児童文学だから最後は助かるのは分かっているけれど、映画の展開を思い、大人や白バラ軍たちの少年への愛情や、助けようと必死で動く姿が感じられます。

バラ戦争も絶好調、夜の城跡での決闘など、あと数センチ、数秒ずれたら死んでいたんですけど、そんな危険も解決したからくよくよして閉じこもるなんてばからしい!と怯むこともありありません。

また、少年ラスムスが白バラ軍に憧れ、最後は白バラ軍入隊となった、ということは、たとえカッレくんたちが大人になってもまた新たな少年少女たちが安心できる家族や友達のもと、街中を走り回ったり、危険を恐れない輝きが続いていくんだろうと思います。

カッレくんはシリーズのたびに「探偵こっごと本当の事件は違うんだ」と自覚するのですが…でもやっぱり大人になってもこのままのカッレくんたちでいて欲しいなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 推理
感想投稿日 : 2019年9月6日
読了日 : 2019年9月10日
本棚登録日 : 2019年9月6日

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