上巻はこちら。
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4042537065#comment
上巻では、ソビエト共産党政治局の政局争い、イギリス諜報員を中心とした世界の諜報活動、ウクライナ独立運動のためにソ連要人暗殺を実行したテロリストグループ、そしてノルウェーの世界一の巨大タンカーフレイア号の着水の様子など、群像劇的に書かれていた。
下巻では、KGB議長イワネンコ暗殺実行犯のミーシキンとラザレフの釈放を巡って世界が大危機を迎える。
テロリストのリーダーアンドルー・ドレークは、ミーシキンとラザレフ(二人がKGB議長イワネンコ暗殺実行犯ということはこの時点では機密)釈放を求めて世界最大のタンカーフレイア号を乗っ取り、要求が受け入れられなければ原油を北海に流出させてヨーロッパの海を壊滅させると脅迫する。
だがKGB議長が暗殺されたなど、決して公表できないソビエト共産党政治局長ルービンは、この要求を飲んだ場合は、欧州における軍縮条約には決してサインしない、世界は戦争に向かうだけだ、と通告してくる。
KGB議長暗殺を知らないイギリスとアメリカの諜報員は、フレイア号奪還計画と、ソ連の態度激化の原因の情報収集に奔走する。
テロリストの要求を飲まなければ、海は壊滅する。
ソ連の要求を飲まなければ、戦争が起こる。
そしてどちらも真相を公表することは決してできない。
アメリカ、イギリスの首脳は情報を共有しあうのだが、どの手段をとっても誰かが死ぬことは確実であり、そのような選択を「悪魔の選択」という。
後半の主な舞台はフレイア号。テロリストリーダーのアンドルー・ドレークに対して、フレイア号船長トール・ラーキンも海の男としての維持と誇りで立ち向かう。
そしてイギリスの秘密情報局の諜報員で、ロシア人で昔の恋人のワレンチーナから情報を得ていたアダム・マンローは、ワレンチーナの安全のためにあらゆる手段を講じる。
結局世界では私達小市民が知らんところでたくさんの世界危機が行われ、その都度「悪魔の選択」が行われているのだろうか。
ウクライナ独立テロリストとのやりとりの「お前たちが何をしたってソ連は、世界は変わらない」「ソ連下のあらゆる民族が立ち上がるだろう」のやり取りは、ある意味その後の世界情勢を表している。
ラストで明らかになった事実ですが…ロシアに生きるってそういうことなんだなあと思った。
- 感想投稿日 : 2022年8月15日
- 読了日 : 2022年8月15日
- 本棚登録日 : 2022年8月15日
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