モモちゃんとアカネちゃんの本(4)ちいさいアカネちゃん (児童文学創作シリーズ モモちゃんとアカネちゃんの本 4)

著者 :
  • 講談社 (1978年11月30日発売)
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本棚登録 : 330
感想 : 30
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モモちゃんとアカネちゃんの本4冊目。
パパとママはおわかれしましたが、「離婚しました。終わり」ではなく、パパもちょこちょこと姿を表します。

パパがどうしていないのか分からないアカネちゃんは家を探します。
そしてある時オオカミの姿のパパに出会います。
アカネちゃんと別れたあとのパパは鳥たちを並べて「あの子はちゃんとオオカミの姿のおれを俺だとわかった。おまえたちもおれの中に飛び込んでおれに喰われておれの歌を歌え」といいます。でも鳥たちは、なにも言わずにじいっと、うっとりと、オオカミパパをみるだけです。
この書き方からしても、松谷さんの元ご主人がどんな人か、松谷母娘にとっては一緒に家庭は作れない人だけど、すこし寂しくて大好きなパパなんでしょう。

パパがいなくなって、ママは一人でモモちゃんとアカネちゃんを育てて、夜までお仕事をしています(離婚前からママさんのワンオペっぽい雰囲気ではあったけど)。
でもかわいいモモちゃんとアカネちゃんには、面倒を見たいです、っていうご近所さんがたくさんいます。
おいしいものが大好きな森のくまさん、アカネちゃんのママになりたいウサギさんやキツネさんたち、クロネコのプー、アカネちゃんのいちばん大切なおともだちの靴下のタッタちゃんとタアタちゃん。
そんなお友達やご近所さんに囲まれて、モモちゃんとアカネちゃんはすくすくと大きくなります。
このタッタちゃんとタアタちゃんの可愛く健気なこと。パパに会いたいアカネちゃんのために遠い道をパパを迎えに行こうとして森の茂みに引っかかってしまったり、チョウチョが欲しいアカネちゃんのために「チョウチョのホテル」になって泊まりにきたチョウチョをアカネちゃんのところに連れ行ったり。
だからこの本の最後で、アカネちゃんが突然タッタちゃんとタアタちゃんとのお別れになったのにはびっくりしたり悲しくなったり。ママが遊びに来たお友達の赤ちゃんに、タッタちゃんとタアタちゃんをあげてしまいました。ママからしたら大きくなったアカネちゃんはもう履けないでしょってことで、やっていることはアタリマエのことだけど…、子供にとってそれがどれだけ大切かを大人はわからないというのは、現実でもよくある姿で、ママにとってもアカネによるにとってもタッタちゃんタアタちゃんにもっても悲しいですね…。

さて、モモちゃんとアカネちゃんは、仲良いのですがたまに喧嘩します。
モモちゃんは私のほうがお姉さん!私はとってもいい赤ちゃんだったって言われてる!アカネは赤ちゃんで聞き分けがなくって私のほうがすごいんだから!っていう気持ちがあります。

そしてところどころ見せる別の世界との繋がり。
ママとモモちゃんとアカネちゃんが、パパのパパとママ、つまりおじいちゃんとおばあちゃんがいるお山に遊びに行った時に雪女に連れて行かれそうになります。でもちゃんとモモちゃんはアカネちゃんの手をつないでいたし、おじいちゃんは雪女とお話しに行きます。
そして死神。パパとお別れしてからママはずいぶん強くなりました。また死神が現れてもむしろ相手をこき使うくらいのことはやってしまいます。でも死神は「あんたの元ご亭主のところに行ったら俺のことを食っちまったから、体に入った時に心臓にサインしてきたよ」なんていいます。

松谷さんの書くお話は、ただのお話ではなくほぼ幻想文学。本当のことを物語としての語り方や、この世と違う世界とのつながりの表現が本当に凄と思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小学校教科書紹介本
感想投稿日 : 2021年6月18日
読了日 : 2021年6月18日
本棚登録日 : 2021年6月17日

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