鬼が出た (たくさんのふしぎ傑作集)

著者 :
  • 福音館書店 (1989年11月8日発売)
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感想 : 8
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節分に向けて。
暦の上で、春の始まり、そして1年の始まりを立春といいます。立春の前の日が節分です。そのため節分とは、冬と春を分ける日であり、新しい1年を向かえるために鬼を追い払う行事を行います。

さて、この「鬼が出た」は、鬼についての科学絵本ですが、
鬼という言葉の意味、世界で鬼はどんなふうに描かれているのか、守り神にもなっている鬼の話など、多角的に解説されています。

人々は、病気や貧困や争いごとなど、目には見えない底しれない力を持ったものを鬼として表現してきました。

しかし怖い反面どことなく可愛らしい面も持ちます。
地獄の鬼は閻魔大王に監視されて永遠に働かされているといわれたら人間より可哀想って思ってしまうし、仏教四天王に踏みつけられている鬼の彫刻のどことなくとぼけた顔の写真をみてふっと笑ってしまったり。
大胆なイラストで「色々な鳥や獣の部分をつなぎ合わせる。人間に似させる」などの鬼のつくり方が描かれて、「ではこの絵に書かれた鬼は何と何とで作られているのかな?」と聞かれたら熱心に見てしまいますよね。

そして鬼は怖いだけでなく守り神として祀られることもあります。鬼の意味である「かくれているもの」は、祖先の霊や自然の深い力のような、人間を守るものの象徴としても捉えているのです。

美術館やお寺や実際のお祭りの写真がたくさん使われて、人間が鬼をどんなものだと考えてきたかが分かる1冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本 自然・動物・恐竜 ・科学・数字
感想投稿日 : 2022年1月25日
読了日 : 2022年1月25日
本棚登録日 : 2022年1月25日

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