脂肪と言う名の服を着て-完全版 (文春文庫)

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本棚登録 : 403
レビュー : 54
著者 :
jyonaさん 漫画   読み終わった 

なんて嫌な会社…なんて嫌な社会だろう…。読みながら、不安な気持ちが拭えないのは、この漫画が、社会的弱者(この漫画の表現)である”のこ”の視点で描かれているからだろうか。

気が弱い。ぼーっとしている。ブス。デブ…。差別はいけないと口にするも、心の中では大なり小なり、”弱者”を見下す気持ちがある人間が大半だ。その悪意に触れすぎてしまったのこは、やがて過食嘔吐の道を辿る…。

綺麗になるという心の拠り所を見つけたのこは、みるみる明るさと自信を取り戻していく。だが、所詮それは、世間や周りの目に流された仮初めの自信だった。しっかりと自分の意志で計画を立て、実行して身に付く本当の自信とは違い、仮初めの自信は、周りの反応が予想と違うことであっけなく崩れてしまう…。

「あの子は心のデブなのよ」というエステティシャンの台詞は、他人の反応に流され、自分の意思を持たない生き方を選んでいるのこの生き様(心に自信がない=心のデブ)を形容した台詞なのだと思う。

作者の描き方が上手いと思ったのは、主人公を執拗異常にいじめていた、美人で世渡り上手で強い…いっけんこの世界では上手くいきそうな橘マユミが、最終的に人脈のあても外れて逮捕されたこと。

マユミも仮初めの姿をしているが、この世界では心に闇を抱えた”弱者”だった。弱者は排除される世の中の仕組みに従ってマユミも消えていった。一番この世界で生き残るのは、松原や川原のような、弱者の味方にもならないが、進んで苛めにも加担しない、オシャレもするしそれなりにどんな人とも付き合っていける…普通の人間なのだ。

レビュー投稿日
2014年5月3日
読了日
2014年5月3日
本棚登録日
2014年5月3日
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