近畿一帯に幅広く流布し、その地域の歴史に無視できない影響を与えた文書があります。江戸時代末期に椿井政隆が作成した偽文書は、その数が多数であること、それぞれに関連性を持たせていること、そしてその地域にとって便利なものであったことがあり受け入れられていきました。腑に落ちないような不自然さがありながらも、そこで公的にもお墨付きを得てしまったこともあり、本当の歴史として定着してしまったものもあります。筆者はその例を一つずつ丁寧に解説されることで、なぜそのような偽文書を作られることになったのか、その後それがどのような経緯をたどったのかを明らかにされています。そのことを通じて、椿井文書を古代史としては偽文書であるが、江戸末期の人々の世相を知るための近代史として重要な価値を持つことを訴えられています。
各地の史跡などに赴いた際に、そこにある石碑の文章などを、鵜呑みにするのではなく、それが書かれた背景にまで思いを巡らせること。歴史を伝承と受入という視点で見ることを教えていただきました。

2021年3月7日

読書状況 読み終わった [2021年3月7日]
カテゴリ 歴史

民主主義というものについて、始まりと言われるギリシャのアテネの政治体制から、イギリスの議会政治とフランスの革命、アメリカの独立後、そして日本の明治維新と、歴史的にそれらしいものがどのように扱われてきたのかを辿っていかれています。それを踏まえることで、民主主義とは何なのかについての答えを導き出そうという試みをされています。時代時代でとらえられ方も違っており、ギリシャのそれとは、今日の民主主義とは違ったものになっているものです。それを丁寧に紐解かれることで、かなり整理して理解することができます。そのうえで、今日の民主主義の問題点は何なのか、その克服のために何に焦点を当てると良いのかについて、著者の考えが述べられています。民主主義について基礎をすっきりと固めることができると思います。

2021年3月2日

読書状況 読み終わった [2021年3月2日]
カテゴリ 政治

資本主義の様々な問題点が噴出している現在。そこからの解決に取り上げられているいろいろな施策が巷にはありますが、結局資本主義の枠内から離れるものではないため、何の問題解決にもなるものではないということを、主としてマルクスの資本主義に対する見方を学ぶことから明らかにされようとしています。まず、環境問題を始めとする、持続可能性に対する問題について、それを引き起こしてしまったのが資本主義であることを述べられています。そうであるからには、資本主義の目指すものと同じゴールを見ていては、そこへ至る経緯をいかに工夫しようとも、現在の問題は解決されないことを説明されています。それはすでに資本主義が生まれたころから見えていたことで、それが見えていた一人としてマルクスを紹介されています。「資本論」や書簡などからその理屈を読み取り、そこから新しい考え方である「脱成長」を発掘されています。それは可能なのかと思われますが、すでに世界では同様の試みが発生していることを紹介されています。それがどのように発生したのか、自身に出来ることは何なのか。その可能性に希望の見える内容でした。

2021年2月25日

読書状況 読み終わった [2021年2月25日]
カテゴリ 政治

コロナもありますが、そればっかりの状態から脱しつつあるように、これからのことについても徐々に語られ始めています。東浩紀さんの「「自由」を制限してもウィルスは消えない」。当然ですが、完全に消え去ることが無いのであれば、その中でどうするかの思考が必要で、そこに未だ目が向いていない現在を感じ共感しました。J・ダイヤモンドさんの「それでも中国の時代は来ない」。冷静に現状分析された本当に気を付けないといけない危機について教えられます。
第164回芥川賞「推し、燃ゆ」。芥川賞に似合わず恰好付けたタイトルだなと読み始めましたが、独自の世界について独善的にならず丁寧に描写され、それが読者を引き込むような流れを持っていることに驚きました。芥川賞の作品は考えながら冷静に読むことが多いのですが、このように惹きこまれたのは久しぶりでした。

2021年2月18日

読書状況 読み終わった [2021年2月18日]
カテゴリ 文藝春秋

特集「環境革命の虚実」。コロナ禍がなかったとしても、いやコロナ禍があったからこそ、環境についての議論が前進をしているのかと感じます。いままでの資源を使った資本主義は行き詰まり、資源利用についての新しい考え方が必要になってくることについて、各述べられています。新書大賞もそれを反映してか、もう始まっている新しい時代について書かれたものが取り上げられているように感じました。コロナ前だったらなかったようなものが読まれていることを感じます。今までの体制や社会について復習し、これからどうなるかを予測するようなもので、これからの時代への準備にあたるような内容に思いました。

2021年2月14日

読書状況 読み終わった [2021年2月14日]
カテゴリ 中央公論

日本の美大での卒業制作がそこの賞を取り、パリへの留学を得るという順風な人生のスタートを始めたかに思えた主人公。しかしながら、留学といっても想像していたものではなく、日本に残る好きな人への気持ちも後ろ髪となり、複雑なものを抱えたものとなります。また主人公は同姓が恋愛対象で、ジェンダーは乙女という男の子なのですが、父親が政治家で、パリで出会う人々も業界で著名な方々ばかり、アーティストとしても将来の大物の片鱗を見せるなど、設定がぶっ飛んで、いけるところまでいけというように怒涛の展開を楽しむことができます。最後まで出来すぎたくらいに、幸運や奇跡、周囲の助けがありますが、コメディとして開き直って、登場人物や著者と一緒に状況を楽しむことの爽快さを感じることができる内容でした。そんな中にもパリという舞台で、美術の世界の面白さを随所に入れてこられ、創作活動というものへの愛情を感じられるところが、この小説に価値を与えるものになっていると思います。

2021年2月28日

読書状況 読み終わった [2021年2月28日]
カテゴリ 小説

「白兎事件」と仮称される人質立て籠もり事件を舞台に、様々な人間模様が交差、どころかこんがらがって、その紐解きをしていくように物語は進んでいきます。なぜこのような事件が発生したのか、なぜ彼らがここにいるのか、なぜ舞台がここなのか。そのそれぞれが一筋縄ではいかない問題を抱えていて、その複雑さが増加していき、飽和状態に近づいたところで、一気に一点への収束へと結びついていきます。まるで問題集の回答編を読んでいるかのような、すっきりとした読後感を感じました。これぞ伊坂ワールドという一冊ではないでしょうか。ただ、これだけの内容を収めるにはページ数が足りないのかと、技巧的な方面に注意が向きすぎて、登場人物への感情移入が追い付かなかった感があります。せっかく魅力的な人々が書かれているだけに残念な気がします。

2021年2月21日

読書状況 読み終わった [2021年2月21日]
カテゴリ 小説

2020年代の世の中を振り返り、そこからこの2021年に考えるべき課題や論点について、日本経済新聞の記者の方々等が述べられています。どうしてもコロナに目が行きがちな世相ですが、その実態についても、またそれ以外に注意しなければならないことについても、一通り網羅することができるのではと思います。政治、経済について、昨今の混乱に乗じるような動き、混乱で見えなくなってしまっている重要な決定など。また新しい経済の動き。これから大きな話題になろうというものについて知ることができます。好評シリーズの本書ですが、読むと10年後の世界が今とは違うものになっていることについて考えさせられます。

2021年2月5日

読書状況 読み終わった [2021年2月5日]
カテゴリ 政治

日本でニュース等で語られている話題、論点を22件挙げられていて、それぞれについて、基本を押さえたうえで自分で考えるということとはどういうことなのか、著者自身で実践される形で示されています。どの論点も聞いたことのある話題ですし、且つどれもおろそかにできないものばかりかと思います。さすがにテーマが厳選されているなと感じました。基礎知識の整理が最初にあることで、その話題についてきちんと知ったうえで考えることができます。この意味でも昨今の問題点を考えるに良い内容かと思います。もちろん日本の論点すべてを網羅できるわけではありませんし、著者の考えを思い切って述べられているので、それに影響を受けざるを得ないものはあると思います。しかしながら、本書の方法論を学ぶことで、今後出てくる日本の問題、論点に出会ったときに、今までとは違った見方が出来るようになるのではないかと思います。

2021年2月10日

読書状況 読み終わった [2021年2月10日]
カテゴリ ビジネス

現代文明の最先端を行くものの一つにスマホ(携帯電話からさらに進化)があると思います。その登場から進化した現在の姿は、驚くべきスピードを感じざるを得ません。本書では、そういったテクノロジーの驚くべきスピード進化に、人間そのものが追い付けていないことを、様々なエビデンスを提示されることで語られています。人間の脳は長い狩猟採集時代のままであり、スマホは実はそのことを分かった人々によって、そんな私たちに合わせて作られています。それによって良いこともありますが、弊害も当然あります。何よりも、スマホに支配されてしまっている状態になると問題です。なぜ私たちはスマホを手放せなくなっているのかという仕組みを知ることで、現代のテクノロジーを使いこなす主人になるために必要な知識がここにあります。

2021年1月30日

読書状況 読み終わった [2021年1月30日]
カテゴリ その他

資本主義の未来のかたち。テクノロジーが何か大きな影響を及ぼしている姿を思い浮かべることは出来るのですが、実際にどうなっているのか、なかなかに推測することすらできないくらいに未来は不透明です。本書では、世界的に著名な、知に大きな影響を与えている方々に、著者がそのことを問いかけた論考集です。ひと昔前から活躍されている方もいれば、若い世代の方も出てこられます。今後の世界の行方について、登場してくる方々の考え方を知ることは非常に重要かと感じました。テクノロジーは善なのか、悪なのか。ベーシックインカムについてなど。いろんな方向からの意見考え方を学ぶことができる内容になっています。自身の将来像、働き方などについて考えるヒントにもなると思います。

2021年1月21日

読書状況 読み終わった [2021年1月21日]
カテゴリ 社会・文化

特集「第二次コロナ戦争」。第三波という状況下、昨年から続くコロナ禍への対応について、当事者や論客の方々による振り返りがなされています。そのうえで、現状の資源の棚卸し、今後への対応について語られています。今後のことについては、コロナ禍以外にも、皇室の話や、科学技術のことなど、また大統領が新しく変わるアメリカのことなど、まったなしに対応していかないといけない問題が山積していることを感じさせられます。新しい世界ともいえるほどに変化の激しい将来像に目がくらむ思いがします。その中でも重要な要素になりつつある隣国についても特集に近い扱いで複数の論が掲載されています。日韓関係もいつまでも今のままの睨み合いで良いわけでは決してないことにも思い当たらせられます。
のんびりできないのは分かっているのですが、忙しなさに違和感もかんじるような内容でした。

2021年1月16日

読書状況 読み終わった [2021年1月16日]
カテゴリ 文藝春秋

特集「これでいいのか?日本の大学」コロナ禍がなくても、入試制度の大きな変更を迎えていた今年度。政府の右左する決定に翻弄される状況を、現場の先生のリアルな論から感じることができました。それ以外にも、今後の大学含め教育機関がどうするべきなのかについて、コロナの影響も絡めて、様々論じられています。学問の世界ということで、日本学術会議の問題について、ニュースになったことが何だったのか、そもそも何に問題があったのか、ただ単に任命拒否だけが独り歩きする中で、そもそもを知ることができます。
磯野真穂さんの「「沈黙交易」から考える多様な社会の作り方」。社会で人と人がコミュニケーションをどうとっていったら良いのかについて、解決のヒントを感じました。

2021年1月11日

読書状況 読み終わった [2021年1月11日]
カテゴリ 中央公論

はやぶさの帰還が話題となり、人類の宇宙進出への希望が熱く語られる中、その最前線の状況について書かれています。地球に一番近い天体としての月へ。そしてそこから他の惑星へと。前半はその最初の「月」について書かれています。私たちが見る「月」の表情について。表と裏の違い、明るいところと暗いところの違い、「月」全体の明るさも日によって変わっていることとその意味。地上から眺めるにあたっても知っておくとさらに興味を持つことのできる知識を知ることができます。そこから実際の「月」の表面へ。そこには何があるのか。「月」にある資源について、その利用について。月面で探査を行う将来の姿を想像しながら読ませていただきました。そして「月」を基地にして新しい宇宙へと旅立つ未来について。
後半では、各国の宇宙開発の現在について書かれています。民間の参加も行われるようになってきていることも。実際に「月」を探査するために何が課題なのか。現場のリアルを知ることができます。
宇宙技術の現場にて活躍されている著者ならではのリアルな興奮を感じることで、楽しくこの世界を知ることができる内容になっています。

2021年1月17日

読書状況 読み終わった [2021年1月17日]
カテゴリ 理系

コロナの話題はやはりあるのですが、取り上げられ方も大きくは無く、かといってそれに代わるような大きな話題もあるわけでもなく、小さな話題がいくつもあるような内容でした。今の世の中を表しているのかと、コロナの騒動が過ぎ去ると、し忘れている問題、やり残されていることがたくさん出てくることが予想されるように感じます。それと同時に、それら個々がそれほど緊迫性のあるものでもないことが、このコロナ禍で分かってしまったのかと感じます。アメリカ大統領選、中国の問題、環境問題、皇室、芸能界といった話題が並びます。
「コロナ下で読んだ『わたしのベスト3』」が一番面白く読ませていただきました。

2020年12月24日

読書状況 読み終わった [2020年12月24日]
カテゴリ 文藝春秋

特集「「女子供」のいない国」。敢えて女性が差別的に扱われている現実を主張するような内容の特集になっています。そのうえで、本当に女性活躍社会にするために、男性の偏見を含め、どのように考えるべきなのかと思わされます。もう一つの特集「2020米国大統領選挙」。大統領選挙というよりも、トランプさんが残した課題なども含めて語られています。また、コロナ禍の特集として「コロナ下の観光立国」。星野リゾートの星野佳路さんの考え方には、感じさせられるものがあり、企業としての地に足の着いた方向性の重要さを感じます。

2020年12月18日

読書状況 読み終わった [2020年12月18日]
カテゴリ 中央公論

「かっこいい」という当たり前に使っている言葉について、なぜ私たちはその言葉を使うのかという、一見素朴な疑問について語られています。かっこいい存在に出会ったとき、自然に「かっこいい」と言葉が出るのですが、それは何なのだろうということ。著者がいつか論じたいと思われていたこの疑問について、いろいろな視点から書かれています。日本での過去の歴史上での取り扱いや、明治維新での欧化にまつわる「かっこいい」に似たイメージ、海外での似た言語(cool等)との類似点や相違点、戦後の日本でのかっこいいブーム。と過去から現代へと膨大な内容から掘り起こされています。あまりにも範囲が広すぎて、本書ではこの論を語る上での導入といったものになってしまっています。著者もそれは感じている様子で、ここから次の深掘りされた本が出てくるでしょうし、非常に期待したいと思います。「かっこいい」という言葉には、これほどの深い謎が隠されているのだということが分かり、それを今後は「かっこよく」意識して使うようにしたいと考えさせられる内容だったと思います。

2021年1月7日

読書状況 読み終わった [2021年1月7日]
カテゴリ 社会・文化

明治維新の重要人物であり、筆頭に名前の挙がってくる三条実美の生い立ちから死までを書くことで、その人物像に迫っています。名前は有名にもかかわらず、全体的に影の薄い印象。しかしながら、なぜそうだったのかを知ることから、その強い意志を持った人物であることが理解できます。その浮き沈みの生涯を読んでいくと、明治の激動の中にしっかりと対応されていたこと、周囲の調整役としての重要な役割をされていたこと、この方にしか出来ないことだったということが分かってきます。ただ単に歴史を読むよりも、本書を読むことで、リアルに明示維新というものを感じることができる内容になっていると思います。

2020年12月18日

読書状況 読み終わった [2020年12月18日]
カテゴリ 伝記・自伝

日本学術会議の話題からか、裏で暗躍するものといったイメージでした。学術会議や、中国、JR既得権益、郵政、Qアノン。コロナ禍の騒ぎの中、見逃されそうになっているものが出てきているように感じます。騒ぎに便乗にならないように、コロナ禍の悪い影響を考えざるを得ません。経済として、富士フィルム、シャチハタの経営者の意見は、ピンチをチャンスに変えようという意気込みを感じ、この中で前向きであることの重要さを考えさせられます。

2020年11月23日

読書状況 読み終わった [2020年11月23日]
カテゴリ 文藝春秋

特集「経済大論戦」。菅新総理が安倍総理から引き継いだものとして、やはり経済が目立つのか、副題に「スガノミクスを占う」とまで書かれています。新政権の中でも目立つ河野大臣のインタビューなど新政権の政策に関する内容と、今後の日本経済について、各対談が組まれています。また新政権の性格を知るための試みとして、菅総理の故郷や、「ナンバー2の研究」といった面白い取り組みもされています。新政権に移行し、今後の日本について各論客が述べられるといった内容でした。

2020年11月15日

読書状況 読み終わった [2020年11月15日]
カテゴリ 中央公論

今までの著者の作品とは少し異質な物語です。タイトルから、美術史を基にしたものかと想像したのですが、そうではなく、かといってまったく関係のないこともない。この意味を知ったうえで読むことで、いろいろと想像を楽しみながら読むことができます。とある事件のために逃げるように辿り着いた「尽果」という場所、そこでマリアと呼ばれる女性に救われます。はなしは、この女性の人間関係、その過去を知ることから展開されていきます。その悲しい物語は、主人公にも思わされるところがあり、自身の過去へ向き直すきっかけにもなります。自分はけっして忘れられるような小さな存在ではないということを、感動とともに思いなおさせられるものでした。

2021年1月2日

読書状況 読み終わった [2021年1月2日]
カテゴリ 小説

2つの不思議な世界の物語。それぞれが交互に語られていきます。それぞれの世界にはそれぞれの特徴があり、いちおうどちらの世界かはタイトル時点で分かるように書かれていますが、読めば明らかに分かります。世界の終わりに足を踏み入れた主人公と、ハードボイルドの世界で何かに巻き込まれつつある主人公。上巻では、なぜこの2つの物語が交互に進んでいくのか分かりません。まったく共通点の無い物語が、なぜ並びたてられて語られていくのか。それは下巻で明らかになっていくのかと。そのような意味で、上巻では、それぞれの物語を素直に楽しんで読んでいくことかと思います。

2021年1月26日

読書状況 読み終わった [2021年1月26日]
カテゴリ 小説

新たな展開を迎え、博士を助け出そうと敵陣の中に挑んでいく主人公たち。スリリングな展開の「ハードボイルドワンダーランド」。平和な壁の中の街に囚われるも、相方の説得により脱出を模索する「世界の終り」。2つの物語が交互に語られるのですが、それぞれがどのように関係しているのかについて、真相に迫っていく下巻の内容となっています。主人公に起きた出来事が、とてつもなく大きなもので、個人ではどうしようもないもので、もう最後を数えるだけの状態になります。その中での主人公の心境が、達観といいますか諦念といいますか、独特のもので、しかし分からないでもない共感を覚えるものでした。この選択でよかったのだろうか、他に方法はなかったのだろうかなどと、色々と考えることの楽しい読後感が残りました。

2021年2月8日

読書状況 読み終わった [2021年2月8日]
カテゴリ 小説

進化とはどのように起こるのか、それに対する研究の歴史、進化する形についての研究である進化発生学から、著者の意見まで書かれています。生物の分類を、昔の研究者はどのようにして行ったのか。十分な情報などが揃っていなかった時代に、それは推測も交えてにならざるを得ないもので、それゆえに間違っていることも多く、しかしその中でも重要な見地がありもするものでした。そのような過去の研究者の足跡を辿ると、科学が哲学の一部であった時代の雰囲気を感じることも出来ました。後半は現代、著者の知る知識を総動員し、進化が実際はどのように起こったものだったのかを科学的に推測する段階に入ります。実際の太古の昔を知ることは難しいのですが、それでも科学的に起こり得ることの情報から見えてくる進化の実際についてドラマチックに見えてくるものがあります。それは非常に感動するものでした。

2020年12月3日

読書状況 読み終わった [2020年12月3日]
カテゴリ 理系
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