図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2011年5月25日発売)
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図書館戦争シリーズ3作目。
笠原郁は長身の活発な女子で、図書隊の防衛員。
2作目の最後に、憧れの王子様がほかならぬ堂上教官だとやっと気づき‥?

気づいたことを堂上本人に教えるわけにはいかないが、どんな顔をして会ったらいいかもわからない。
おくての郁ならではの大混乱を楽しく描きます。
まっすぐにではないけど、二人の間柄は少ぅしずつ近づいていくのですね。

高校生の毬江が盗撮され、犯人探しに結集する図書隊。
感情を表に出すことの少ない小巻の怒りはもちろんのこと。

図書隊の昇任試験の時期が近づき、筆記が苦手な郁は大慌て。
だが本当に危ないのは、優等生の手塚のほうだった。
実技が「子供への読み聞かせ」という課題だったのだ。子供が苦手な手塚は柴崎に相談を持ちかける。
情報通でクールな美人の柴崎と、真面目すぎるほどの優等生だが兄への葛藤を抱えた手塚が微妙な距離感で付き合うのが面白いですよ。

「週間新世相」で人気俳優のムック本を出すことになったが、思いも寄らないことで暗礁に乗り上げる。
差別用語に設定されてしまった言葉を使うと良化隊に狙い撃ちされるという難しさ。
「床屋」が差別語とはね‥
玄田隊長の出したアイデアは?

地方の美術館で賞をとった作品が良化隊に没収されそうな危機に。
特殊部隊が警護に出向するが、そこは郁の出身地。戦闘職種であることが母親にばれて、ひと騒動。これも課題の一つでしたね。ようやく母親と向き合い、これまで知らなかった事情も知ることに。

事なかれ主義の図書館長の方針で、防衛隊は無力化されていて、一人だけ女子寮に泊まる郁は嫌がらせに遭う。防衛隊は一番下のカースト扱いだったのだ。
戦闘もこれまで以上に大規模でリアルに描かれ、こういう理由での闘いが今さらながらショッキング。

いくつものカップルの微妙な関係を巧みに織り込みながら、面白おかしく展開するストーリー。
大事なことは誰かがきっぱり言うのが、小気味いい。
骨のある内容なんですよね。
それをいろんな味付けでぐいぐい読ませるのには、感心します。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2013年6月28日
読了日 : 2013年6月19日
本棚登録日 : 2013年6月19日

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