世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史

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 ビールは初めから社会的な飲み物として重要な機能を持っていたようだ。紀元前3000~2000年代のシュメール人のものとされるビールの絵は、一つの容器に入ったビールをふたりの人間がストローで飲んでいる、というのが一般的だ。ところがシュメール人の時代にはすでにビールを濾して、穀物の粒やもみ殻、そのほかのごみを取り除くことができたはずで、しかも陶器の出現は、各自が容易にめいめいのカップでビールを飲めたことを意味している。(p.26)

 ギリシア人たちはワインの詰まったアンフォラとともに、地中海沿岸だけでなく遠隔地にまで、自らの文明を広めた。こうしてワインはビールに代わり、最も文明的かつ洗練された飲み物となった。古代ギリシアの知的業績の数々と結びついているために、ワインは今もその地位を守り続けているのである。(p.76)

 植民地時代を通じて、蒸留酒は苦しみを忘れるための道具だった。自らに苦しみを課したヨーロッパの入植者にとっても、彼らによってさらに過酷な苦しみを経験させられたアフリカ人奴先住民にとっても、それは同じだった。そこで、ヨーロッパからアメリカにやってきた入植者たちは、蒸留酒で奴隷を購入し、服従させ、管理しただけではなく、蒸留酒に対するアメリカ先住民の狂信的な態度を、彼らに対する支配手段として意図的に利用した。(p.138)

 イギリスのコーヒーハウス(最初はオリバー・クロムウェルが権力を握っていた頃)は清教徒の時代に、酒場に代わる品位と節度のある場所として始まった。室内は大変に明るく、本棚、鏡、金縁の額に入れられた絵画のほか、趣味のいい家具の数々で飾られており、暗く汚らわしい酒場の雰囲気とは正反対であった。(p.151)

「恐慌にも、天気にも、厳しい競争にも負けず、コカ・コーラ需要はとどまるところを知らない」—当時の投資アナリストが書いた文章だ。コカ・コーラは冬でも売れる暑い時期の飲み物、アルコール飲料に太刀打ちできるノンアルコール飲料、カフェインの摂取を一般に広めた飲み物、そして経済が下り坂でも人気が落ちない飲み物だったのである。(p.259)

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感想投稿日 : 2017年10月9日
読了日 : 2017年10月7日
本棚登録日 : 2017年10月7日

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