われは熊楠

  • 文藝春秋 (2024年5月15日発売)
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和歌山で生まれ育った南方熊楠の人生。

山や海や野原は、熊楠にとっては天然の類書であると…彼には、学校の授業よりも商売の話よりも自然物を収集分類することで、世界の全てを知り尽くしたい気持ちが優っていた。

頼りにしていた実弟から金銭的なことで見離されたことや最愛の息子の病気など家族との軋轢や苦悩もありながら、なかなか陽の目を見ることがない研究を諦めることがなかったのは強さなのか、承認欲求なのか…それとも己を知ることだったのか。

天皇陛下への御進講をやり遂げたことで、今までやってきたことは、決して間違ってはなかったと。

この本を読むまでは、深く知ることがなかったが、奇人なのか、天才なのか…独特で唯一無二な存在だと感じながらも妻子や友人達の気持ちを蔑ろにする人ではなく、不器用だが思いやりのある人だとも思えた。



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年7月14日
読了日 : 2024年7月14日
本棚登録日 : 2024年7月14日

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