TV番組の最後に流れる制作スタッフの名前の中に「渡辺百花」という名前を見つけ、姉かも知れないと手紙を送った千愛。
幼い頃に両親が離婚し、姉の百花は父と妹の千愛は母と暮らしてきた。
この手紙を出すまでは、一切会うこともなく年月は流れていた。
これは姉妹がメールで紡ぐ、家族の物語である。
メールだけなのに今の状況が目に浮かぶほどリアルに書かれてある。
最初は、近況報告だったのがそのうちに母の癌がわかり、それについての苦悩を知らせるうちに次第に胸の内までありのままに知らせるようになる。
そして、お互いが知らなかった父のこと、母のこと、
2人の出会いなどを知る。
姉妹の悩みもお互いに隠すことなく打ち明けて、離れていた年月が気にならなくなるほど。
この姉妹は、父に母にそれぞれ愛されて育てられたんだと思う。
そして、両親は決して離れて暮らしていた子どものことも忘れていたわけではないと…。
夫婦では上手くいかなかったけれど決して憎むべき相手ではなく、信頼してたからこそお互いの子どものことを想っていたのだろうと感じられた。
優しくて静かな家族の物語であった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年7月12日
- 読了日 : 2022年7月12日
- 本棚登録日 : 2022年7月12日
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