空海入門 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2012年4月25日発売)
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本棚登録 : 93
感想 : 7
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・空海が恵果から教えを受けたのは、たった半年の期間でしたが、1200年経った今でも、語り継がれていることが驚異です。

 弘法大師空海の著作を、多くの人々が理解できるようにしたいと、正確な現代語に訳してこられた、加藤精一さんによる『空海入門』。

 最澄と空海というかたちで、並べて語られることの多い弘法大師空海ですが、その生涯を知ると、大日如来のお導き、としか言いようのない強運を、時として強引とも言える説得力で引き寄せた人だったんだなぁ~と思います。

 恵果から灌頂を受けた教えを更に推し進め、広めていきたい。目的を達成するための影響力を得るためには、時勢を読み権力を味方につけることも必要なのですが、少なくとも空海が達成しようとした目的は、世の中の全体最適を目指したものであったということが、現代の為政者と違うところだと思います。

 荷車ぐらいはあったかもしれませんけど、自動車がなかった時代。帆船はあったかもしれませんけど、飛行機はなかった時代。弘法大師空海は、自らの脚で大地を踏みしめ、時間をかけて旅をすることで、多くの偉業を成し遂げました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人文科学(心理学・哲学・思想)
感想投稿日 : 2020年4月29日
読了日 : 2012年12月1日
本棚登録日 : 2020年4月29日

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