ことり

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本棚登録 : 1796
レビュー : 295
著者 :
kakerikoさん  未設定  読み終わった 

小鳥をこよなく愛し、鳥たちからも愛された兄弟。「ボーボー語」(←鳥と会話が出来るらしい)しか話せない兄との二人だけの暮らし、その兄が他界してからは、ゲストハウスの管理人の傍ら、幼稚園の鳥小屋の世話に勤しみ、あらゆる小鳥関係の書物を読むために図書館に通い、ほとんどの日常必要品を調達できる子供の頃からの一商店に通う。これが彼のテリトリー、生きている世界だった。
「鳥籠は小鳥を閉じ込めるための籠ではありません。小鳥に相応しい小さい自由を与えるための籠です」鳥かごの定義が、彼が愛読する本の中ででてくるのだが、思えば、小父さんの暮らしそのものを象徴しているかのようだと気づく。司書によせた淡い感情も、鈴虫の老人との交流も、入れ替わる園長先生や子供達も、皆、彼の前を横切っていくだけ。彼の生活は乱されることなく、ある秩序をもって密やかに繰り返されてきた。
すくい取った「孤独の中の安らぎ」を見事に表現した作品だと思った。終盤、傷ついためじろのヒナを看病し、美しい鳴き声を奏でられるように小父さんが繰り返し鳴き声を教え導いていき、それが実っていったくだりは、濃密で、何とも言えない心地よさに包まれる箇所だった。
小鳥とお兄さんと、小父さん。慎ましやかな静かな生涯を通して、自分らしく「生きる」ことの意味を考えさせられる作品。

レビュー投稿日
2014年10月19日
読了日
2012年12月12日
本棚登録日
2014年10月19日
5
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