二組の合成された新家族が長男の突然の死によって、幸せとは一見違う表膜に長いこと包まれてしまいます。普通なら、年月と共に昇華されていくべき死者の魂が、精神を病んでしまった母親の強い想いによって、どこまでも傍から離れずに、呪縛のようにこの家族を捉え、苦しめていくお話です。
中盤までは、読んでいても辛く感じてしまいましたが、読み進めていくうちに次第に自分の中で納得できる要素が見つかり、最終章「皆」に至っては意外なサプライズにささやかな希望を見つけることも出来ます。よかったのは親も性格も皆違う3人の子供たちの視点から、それぞれが家族以外の他者との関わりの中で「死生観」に対する考えを自分自身のこととして咀嚼していったことです。
遺された家族の軌跡。想像以上に、読み応えあった作品でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年10月19日
- 読了日 : 2013年5月30日
- 本棚登録日 : 2014年10月18日
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