悪人列伝 古代篇 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2006年11月10日発売)
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本棚登録 : 108
感想 : 7
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膨大な知識と資料を下敷に書かれた史伝。本書・古代編は蘇我入鹿から藤原純友まで六人の人物を扱う。解説に指摘されているように、人物を媒介にその時代の事情や空気を描き出し、日本史のある部分を綿密に書き上げた作品群。

「散々資料をさがしたが、ここはわからない」と断ったうえで
「ぼくはーーーーとみたい。それが心理として自然だからだ」
などと「ぼく」の解釈を披露する。
歴史作家としての面白い見方も随所に盛り込んであり、とても楽しんで読ませてもらった。

歴史中心な分、人物を身近に感じたい人には読みにくい本かもしれない。
解釈によると海音寺は、自分の史伝を使って他の作家が小説を書くのは大歓迎だったという。

かの司馬遼太郎も海音寺作品を種本に「国盗り物語」を書いたことを認め、海音寺さんは怒らないから、と言ったとか。

そうだったのか。
史実に基づく面白い読みものを探してた時期、なぜこの作者に出会わなかったんだろう。。。不覚でした。

ちなみに海音寺は史伝ジャンルの衰退を嘆いて、自分の知識や史観を書き残したかったのだそう。氏が亡くなってもう40年、新資料をもとにこういう本を書いてくれる人はいないのかな?
と思ったのでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論・NF・雑学他
感想投稿日 : 2019年12月21日
読了日 : 2019年12月21日
本棚登録日 : 2019年12月21日

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