過去を振り返って想起するのは、果たして苦楽のどちらだろうか?
50を超えた中学の教師は、楽しい思い出に間違いないと言い切った。
けれども、今のぼくが思い浮かべる過去は、記憶から消去したい哀れな自分と、とりとめのない言葉や脈絡のない一場面に過ぎない。
スチュアート・ダイベックによるこの作品は、そんな過去の断片を連ねたような連作短編集である。
もう少し年齢を重ねたら、楽しい思い出に満ち溢れる日が来るのか。
もう少し時間がたてば、堪え難い記憶も受容出来るようになるのか。
とりとめのない記憶の断片が、「ケ・キエレス?」(お前、何の用だ?)と問い続ける中で、そんな疑問すら抱けない自分がいる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説:海外
- 感想投稿日 : 2010年11月15日
- 読了日 : 2010年11月7日
- 本棚登録日 : 2010年10月24日
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