短歌は最強アイテム――高校生活の悩みに効きます (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2017年11月22日発売)
4.25
  • (12)
  • (7)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 121
感想 : 18
5

「国語科のドアに「校内どこかにはいます」と貼って空を見に行く
 千葉 聡

 横浜市立桜丘高校の国語科「熱血」教員「ちばさと先生」は、歌人である。

 6冊目の著書「短歌は最強アイテム」の副題は、「高校生活の悩みに効きます」。生徒の「悩み」に寄り添う短歌エッセーかと読み始めると、意外にも、ちばさと先生自身も悩み、生徒から折々励ましをもらい、ともに一歩階段を上がってゆくような内容であり、心が洗われた。

 授業はじめ、放課後や土日も部活動の顧問にあてる多忙な教員生活が変わったのは、40代半ばのころ。母親の介護のため、退勤時間を早めて帰る生活になったのだ。慣れない事態に、イライラも募ってしまう。

 そんななか、生徒の親子関係の良さを思い起こし、「親子」とは永遠の課題であることを再確認する。そして、自分を「うさぎ」、母を「うさぎちゃんのお母さん」にたとえ、ごっこ遊びのような介護に変化させ、やさしさと笑顔を取り戻すのだった。

 親子の関係を結び直すという発想の転換は、文学作品がヒントを与えていたことも記されている。親も年をとり、自分も年齢を重ねてゆく事実を前向きにとらえるには、掲出歌のように、「空を見に行く」心の余裕が必要なのだろう。

 海賊より空賊がいい 寝転んでこの空を青く青く蹴る男子

 担任教員であっても、クラスという「船」では生徒と同じ「乗組員」。その全員が「旅の途中」にあると定義づけ、青い空をともに見上げる姿も、すがすがしい。
(2017年12月17日掲載)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年12月17日
読了日 : 2017年12月17日
本棚登録日 : 2017年12月17日

みんなの感想をみる

ツイートする