こころ (ワイド版岩波文庫 204)

著者 :
  • 岩波書店 (2002年2月15日発売)
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本棚登録 : 189
感想 : 36
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「こころ」
先生とのお話。


こころ。小学生か中学生の頃ちらっと読んだ以来です。当時は、夏目漱石作品の面白さが全く分かっていなかったし、例えば、「吾輩は猫である」も何で名作と呼ばれているのかさっぱり分かりませんでした。当然私は、猫が主人公と言う取っ付きやすい物語にもかかわらず、興味を惹かれる事もなく、最後まで読み切れなかったのです。


そんな私なのだから、題名がこころと言う崇高なもので、中身も先生の覚悟や苦悩がびっしり出てくる本作を読み切れるはずも無かった訳です。


しかし、10数年経った今、やっと読み切る事が出来ました。さて感想ですが、まず先生に憧れを抱いた「私」が勝手に失望し、悲しんだり怒ったりするのは、憧れを抱く側の心情としてはあり得ると思うけど、海にいたおじさんに憧れを抱くと言う所にリアリティを感じませんw


しかし、このリアリティの無さは、どうでも良くなりました。先生が抱えているものにとてもリアリティがあり、人間の本質が先生を通して透けて見え、もう海のおじさんに一目惚れしたなんて忘れちゃうのです。特に、「私」を信じて行く心情の過程や奥さんの心の描写、2人の間に入る「私」の感情なんか人として抑えるべき所を抑えていると言うか、人を語る上で避けて通れない箇所を見事にずばっと指摘しているように思います。だから説得力が文章からひしひしと感じる。


先生の覚悟を「私」に伝える所が一番の読みどころであり、それが奥さんとの関係を紐解くキーになるのだろうけど、私はそこに辿り着くまでの過程の方に惹かれました。


さて次は何を読むべきか。果たして夏目漱石を好きになれるか。今年の挑戦の1つです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年7月11日
読了日 : 2014年7月11日
本棚登録日 : 2014年7月11日

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