「迷路館の殺人 新装改訂版」
黒猫館の殺人を読んだのは一年前。全く進んでいない。
謎の建築家である中村青司が設計、建築にかかわった迷路館。その館を舞台に、推理小説の大御所が弟子達に最後の課題を与える。迷路館を舞台にした小説を書き上げろ、最優秀者には遺産を付与する、との言葉を残して。
弟子達が小説をただ書き上げるだけで済むわけもなく、次々と殺されていく訳だが、その事件は、迷路館からの生存者が書き上げた小説として提示される。その小説には、巧みな伏線が張られてあり、迷路館の殺人が明らかになった後で、全てが回収される。これが上手く張られているから、読者も文句は言い辛い。
また、閉じ込められた人物たちの中で、島田氏が探偵役を演じるのだが、強く出すぎるわけでもなく、他のキャラクターと同じ立ち位置。あくまで、主役は迷路館。地下に造られたのだから、扉一本で密室の出来上がり!な弱点(引きを弱くする可能性があるという点で)はあるものの、各部屋につけた神話の件や、これぞ迷路な廊下を駆使したからくり等、十分な存在感は放っていた館だったと思う。
個人的には、事件の始まりから終わりまで、結構好きな、というか、ミステリーとしてすっきりして気持ち良い。ちゃんとふわっと騙される伏線があるし、キャラも妥当。そして、最後の顔出しまで、嫌いでは無い。
おそらくは、ミステリー好きな人は読了済だろうが、読んでない人には推したい作品だなと改めて感じた(というのも、なんか既視感があり、もしかしたら以前読んだのかも知れないから)。
因みに、まだまだ館シリーズが残っている。実は、図書館にも何故が無い巻があるのだ。一体何故なのか、謎が解ける日は多分来ないだろうな。
館シリーズ完遂まで先は長い。。。
- 感想投稿日 : 2019年12月10日
- 読了日 : 2019年12月10日
- 本棚登録日 : 2019年12月1日
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