「いけない」
久々。
向日葵の咲かない夏には見事な仕掛けにやられた。それ以来、道尾作品をちょくちょく読むようになっている(とは言え、今回で久々なんだが)。本書は、その記念すべき作品への原点回帰であり、大幅超えの超絶ミステリー、と言う触れ込みである。これは読む一択だ。
白沢市と蝦蟇倉市を結ぶ白蝦蟇シーライン。その道を南下するとき左手に現れる弓投げの崖。身投げの名所になっているこの崖を中心にして、物語が進んでいく。第1章の「弓投げの崖を見てはいけない」では、ミステリー色が強いが、2章、3章に続くにつれ、原点回帰の意味が分かっていく。
そして、終章の終章で明らかになるもう一つの真相。自分なりに、こうではないのか?と言う推理は立てられたのだが、果たして本当にこれなのか?と言う疑惑が拭えない。
仮に自分の推理が正しければ、驚きはある。気づかれずにやり遂げたことで、前提をひっくり返したのだから。しかし、ちらほら謎が残ってしまう。まず、この推理は立て易い。隠された伏線ではあるが、割と見えてる。だから疑ってしまう。これでは、大幅超えの超絶ミステリーと言うインパクトを与えるほどの真相とは思えないから違うだろう、と。
次に、2章に謎が残り過ぎる。人智を越えた何かがいるようなストーリーであり、珂の力にも謎が残る。どうやら第1章に秘密があるようだ。向日葵の時には、叙述トリックがあっただけに、今回もやってるのでは?と疑いながら読んでいたのだが、気づかなかった。謎を解くには、再読が必要だ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年7月14日
- 読了日 : 2019年7月14日
- 本棚登録日 : 2019年6月27日
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