誰か―Somebody (文春文庫)

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レビュー : 587
著者 :
kansasさん  未設定  読み終わった 

「誰か―Somebody」
杉村三郎シリーズ第1弾。


最新シリーズ第5弾「昨日がなければ明日もない」の第1弾。どういうわけか第1弾を読まずに以降を読んでしまっていた為、振り返りで手に取った。


杉村三郎が舌打ちをし、殴ってやらんばかりの怒りを抱き、どうしようもない空しさにくれる。


義父・今多コンツェルン会長の個人運転手・梶田信夫の人生について本を出版したいという願いを持った娘二人の相談に乗った杉村は、梶田の人生を遡っていく。梶田は、自転車に轢き逃げされ、打ち所が悪く、そのまま亡くなっていた。杉村は二人の気持ちを汲み、現場を訪れ、行動を開始するが、意外な情景が広がり始める。


父の事故死の真相と大好きな父の人生を形にしたいという思いから徐々に遠ざかっていく。きっかけは、姉の記憶にある誘拐事件であり、それが結婚を控える彼女を不安にさせていた。この不安が大きなキーになるのだが、恐らくもう一つのキーは、杉村が水津に出向いたことだろう。


着メロに使われた曲をヒントに水津に一人で向かった杉村が見た光景は、余りにも衝撃的だった。当初の目的から離れた所に着地した結末には、腹立たしい。妹が抱いていた姉への思いが、結局は男女のいざこざ(それも胸糞悪い)に落ち着いた訳で、これは個人的に好みじゃないパターン。見られたくない悪業を見られ、それを杉村に詰められる。杉村としては理解できないから正論をつく。この言われように相手は逆切れする訳だが、正しいことを言ってるはずの杉村が虚しくなる。この水津のシーンは無くても良かった、姉の言葉を借りるならば、なんで水津に行ったんだ、となる。


また、杉村が水津で見て聞いたことを姉に明らかにした点も賛否は分かれそう。個人的には、杉村の気持ちが理解でき、伝えた方が姉の為だと思う。じゃないと後でもっとよくないことが起きる可能性が大。ついでに言ってしまえば、結局はダシに使われたようなもんで、その使われ方も散々。よく殴らなかったなと思うくらいなものなのだ。怒りと空しさを込めても良いんじゃないか。


「名もなき毒」でも散々な目に会った杉村三郎だが、初っ端も散々な目にあっていた。妾の旦那なんか言われて耐える杉村。分からん奴には殴っても良いんだよと伝えてあげたい。しかし、桃子のためにきっと我慢したのだろう。


読了前に想像していた結末を裏切られた。ちょっと腹立たしい意味で。

レビュー投稿日
2019年3月29日
読了日
2019年3月29日
本棚登録日
2019年3月23日
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