地磁気逆転と「チバニアン」 地球の磁場は、なぜ逆転するのか (ブルーバックス)

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  • 講談社 (2020年3月18日発売)
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地球の地磁気が過去に逆転した痕跡を観察できる地層として、千葉県の市原市の地層が一躍有名になったのはつい最近のことですが、本書ではそもそもなぜ地球に地磁気があって、その果たしている役割や、環境に与える影響について解説してくれています。
地磁気や磁石に関する歴史の紹介では、中国が都市建設に際して風水のために磁石で方位を測ったことから真北を基準としていないのに対して、日本の都が真北を基準としているのは、とても興味深い対比でした。また方位には偏角と伏角があることも知りました。地磁気の方向や強弱により、こうした角度も影響を受けるとのことです。興味深かったのは、体内に磁性鉄をもつ生物が、地磁気を感知して行動するということでした。地磁気逆転現象は、フランス人のブルンと日本の松山が発見者として名高く、直近の地磁気逆転は77万年前だそうです。市原の地層でもこの痕跡が観察できる、とのことですから一度是非見に行ってみたいと思いました。そもそも地層から地磁気の逆転が観察できるのは、岩石や溶岩が磁性を固定するからですが、当時の地磁気の方向がこうして判明する、というのは大変神秘的な現象だと感じました。地磁気が大きく北極や南極からずれることをエクスカーションというそうですが、直近では4万1千年前に起こったそうです。フランスの地名からラシャン・エクスカーションと名付けられていますが、この時期がネアンデルタール人の絶滅と時期的に重なるため、影響があったのではと推測されているようです。エクスカーションで地磁気が弱まり、オゾン層が破壊され紫外線が強まったことによる影響と考えられているようです。地球の地磁気が太陽風から生物を守っているのです。1859年に太陽のフレアが突発的に発生すると、プラズマと磁場が一緒になって宇宙に放出され、その影響が地球に及んだことが紹介されています。この時、電化されていた国、例えばアメリカでは磁気嵐で電信ネットワークがダウンしたのですが、同様のイベントが今発生した場合の社会、経済への影響は甚大でしょう。地磁気がない火星では太陽風の影響によって大気や水がなくなってしまったようです。地磁気が地球上の生命に及ぼす影響の大きさを認識させられた良書でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2021年7月30日
読了日 : 2021年7月28日
本棚登録日 : 2021年7月28日

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