「日銀デフレ」大不況 失格エリートたちが支配する日本の悲劇

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  • 講談社 (2010年7月28日発売)
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日本の景気が悪い原因はリーマンショックのように語られているが、
実は、リーマンショックでの先進国の中での被害は日本が一番軽微。

しかし、日本のGDP減少率は先進国の中で一番大きく、アメリカの2倍強のマイナス成長に陥った。
その原因は日銀の無為無策によって20年間続くデフレにあり、リーマンショックはそのデフレにとどめを刺したにすぎない。

実際、デフレから脱却するには、世界の経済学者の常識となっている簡単な手段がある。日銀が大規模な量的緩和を行うこと。
なのに、何故日銀は思いきった緩和に踏み切らないのか。

著者は3つの理由を挙げている。
1、日銀のインフレ恐怖症(インフレつぶしのために早い段階から金融を引き締めることが日銀のスタンスに)
2、日銀の官僚組織体制(現状維持バイアスをもっているのに政策の重要な決定を任されている点が問題。)
3、日銀の独立性(財政政策と金融政策をセットで行うのは経済政策の基本なのに、日銀はその基本を積極的に行おうとしない)

しかし以下を行うことで、日本は復活できる。
1、インフレ目標を日銀が設定し、長期国債の買い切りオペをして外債を購入する。
2、政府による政府通貨の発行。
3、国会議決による第二次「高橋是清」財政の発動

個人的に印象に残ったのが、
「日本を救うマニフェストの見つけ方」=経済成長、景気安定、所得再分配に注目。
・経済成長について「低成長でも良い、産業政策を持ち出す」政党=論外
・政策効果が30兆円に達していること(デフレギャップと同額)
・4%以上の経済成長率の達成を明言していること←他の先進諸国達成
・数値を出さないor 2%よりも低いインフレ率でデフレ脱却を掲げる政党は×
・5%超の失業率を4~3%まで下げられる

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・経済・政治・法律
感想投稿日 : 2011年2月14日
読了日 : 2011年2月13日
本棚登録日 : 2010年7月28日

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