今野敏「隠蔽捜査」シリーズ、安心して読めるシリーズである。多作が災いしてなのか、他の今野作品では正直「あれ…」ってのもあるんだが、このシリーズは概ね外れない。作者自身も相当愛着もって、もしくは腹括って書いてる本命シリーズなんだろうなぁ。
今回も原理主義合理主義を貫く竜崎節炸裂。義理と人情を秤にかけること自体が合理的ではないと唐獅子牡丹も色あせる言動が、理不尽なことでクヨクヨしてしまいがちな身には心地よい。なすべき目標をブレなく見定め、プライオリティを誤らずに淡々となすべきことを為す。その姿がカッチョええのである。
「そこは空気読まな」とか「ちょっとは足並みそろえようや」とか、そういう温かい人間関係も勿論ほっこりしていいのだが、弱い奴はそこに甘え、悪い奴はそれを利用する。生温かいのは気持ち良い半面、雑菌が繁殖しやすい環境でもあるってこと。時には灼熱の、時には厳寒の環境に身をさらせる強さを身につける。堅物頑固もきちんと磨けばカッチョ良さになるのだ。
ところで、「5.5自覚」読み忘れていたようである。早速リスト入りさせておこう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本小説
- 感想投稿日 : 2017年3月25日
- 読了日 : 2017年3月25日
- 本棚登録日 : 2017年3月23日
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