交通事故で下宿シェア相手の友達が書いた小説の原稿を、自分の作品として世に出してしまった主人公の身の回りに起こる事件を描いたスリラーサスペンス。一言でいうとそういう小説なんだが、俺の思っていたのとちょっと違って、主人公のメンタルにダークな部分が非常に希薄。小市民で意志薄弱でお人よし…自分の身にだってこういうことは起こり得るよという、共感が沸きやすい設定なので、読んでいてもハラハラドキドキ感がたまらない。
共感性羞恥がキツい俺としては、この作品の読みどころ=しんどいところ、みたいな部分もあったので読了には時間と体力が想像以上に必要だったけど、それも含めてオモロい小説。小説は小説、と割り切って楽しめる人には手ごろな娯楽小説だと思う。
(超ネタバレ注意)
スゲーと思ったのは、ラスト近くこの本全体を通して仕掛けてある、某伏線回収シーン。日常生活にちょいちょい潜んでいる、誰でもがはずみで落ちてしまいそうな誘惑、乗ってしまうとエラいめに合うよ。という教訓が込められる方向に話は進むと思っていたが、あれっと思う間にちょっと趣向の違う方向でハッピーエンド。
物語のメインテーマを読み違えさせる系のトリックは初めての体験で、落とし穴の中で大笑いする芸人のように、「こういう引っかけ方ありなんや」とムッサ楽しめた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外小説
- 感想投稿日 : 2018年5月22日
- 読了日 : 2018年5月22日
- 本棚登録日 : 2018年5月13日
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