煌 (文芸書)

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本棚登録 : 73
レビュー : 6
著者 :
黒い☆安息日さん  未設定  読み終わった 

共通の小道具は花火。江戸初期から後期までを時系列に、舞台も豊橋から日本のあらゆるところを巡ってまた豊橋に戻ってくるような短編集。

ベタな市井人情ものの器をしているが、行間を読ませるというか、心の機微を探らせるような文章が良い。ざっと流して「あぁエエ話やねぇ」では終わらせないのだ。

例えば、長崎の出島を舞台にした「山の灯」。主人公は阿蘭陀行と言われる遊女。出島のオランダ人相手に現地妻となる遊女が長く滞在すればするほど遊郭は儲かる仕組みなんだが、何故か遊女は最低限の滞在期間2泊3日で遊郭に帰ってくる。決して相手に嫌われている様子はないのに何故なのか?その辺の機微が良い。さらにその微妙な心の描写が苦味が残るラストに響いてくる。切ないよなぁ~

単純なハッピーエンドはない。でも何故か後味は悪くない。エグ味の強い山菜を上手に調理して爽やかな味に仕立てたような、そんな短編を集めた作品集である。

レビュー投稿日
2018年9月9日
読了日
2018年9月9日
本棚登録日
2018年8月26日
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