会社のITはエンジニアに任せるな! 成功率95.6%のコンサルタントがIT嫌いの社長に教えていること
- ダイヤモンド社 (2015年12月3日発売)


■書名
書名:会社のITはエンジニアに任せるな! ―――成功率95.6%のコンサルタントがIT嫌いの社長に教えていること
著者:白川 克
■概要
「会社にとってITとは何か?」「どうすればうまく使いこなし、利益
の源泉にできるのか?」「10年後をにらんで、どういう手を打つべ
きか」―こうした疑問をコンサルタントやITベンダーに丸投げする
ことなく、自分でも考えられるようになる一冊です。
(From amazon)
■感想
最近よく読んでいるプロジェクト管理/コンサル系の本です。
この本をユーザ側の経営幹部/プロジェクト責任者が読んで納得する
だけで成功プロジェクトの数は飛躍的に上がるでしょうね。
それぐらい、ユーザ側には受け入れがたい事実が記載されています。
ですが、本当に残念ながら、この本だけではユーザ側の経営層はと
もかく業務部の人間には響かないでしょうね。
響くとしたら、新人か2年目まででしょう。
業務部の人間で仕事に慣れている人は、自分の仕事がどういう目的
でこの方法が本当にいいのか?なんて考えません。
言われたことを言われたままやるだけで、基本ロボットにとって
変わられる可能性がかなり高い業務となります。
勿論イレギュラーな業務も多々ありますが、それだってイレギュラー
をレギュラーかしてしまえばいいだけの話ですから。
凝り固まった人間がそもそもこういう本を読む事はないですが、読んでも
まあほぼ無駄でしょう。
結局業務部を動かすには本ではなく徹底的に話して協力を依頼するし
かないという感じです。
あ、業務だけ書きましたが、経営層でも理解できるのは半数いればいい
方だと思います。
でも普通、経営層のレベルであれば、ここに書いてある内容理解して正当性
があると判断できると思うんですけどね。
この本はユーザ側読んでもらうためこのよう書名にしていると思い
ますが、ベンダ側が読んでも非常に参考になると思います。
まあ、結局ベンダ側がやることがこのコンサルタントがやっている事と同じ
事になるわけですから。
ユーザの文句を言う前に、ユーザの思考回路、論理体系を理解してユーザ
と妥協点を見つけていかないといけないな~と感じます。
書いてあることはベンダ、エンジニアから見れば100%正しい事だと思い
ますが、ユーザ側からみたら「は?何言ってんの?」という感じでしょうね。
IT特有の難しさは、ITの内部にいないと分からない部分が大きいですから。
結局、「ユーザ側の参加者意識の高さは肝である」というのはどの本でも
言っている事で真実です。
ベンダから見ると「何で自分の会社/業務の事なにそんなにベンダに無責任に
押し付けられるんだろう?後で困るの自分たちなのに・・・」というのは
新人の時に誰もが感じる事ですからね。
お互い分からない部分があるのだから、そういうの話せる人間関係を作り
全員で参加するプロジェクトを作っていく必要があるという事です。
面白いですが難しいものです。
■気になった点
・経営幹部、業務担当、ITエンジニアが協力しなければITプロジェ
クトは成功しない。
・ITを作る前に将来の業務の姿を描くこと。
・ITプロジェクトは失敗するのがふつう。
それを成功させるには、経営幹部、業務担当、ITエンジニアが協
力しなければいけない。
・悪い報告を聞いた側は決して怒ってはいけない。
怒られた側は次から報告しなくなる。
・曖昧さはITの敵。
・日本企業で問題なのはみんな衝突から逃げる事だ。
・立場が違えば意見も違う。衝突は当然である。
・やりたいこと、欲しいものを明確にする。
・現状踏襲で何も変えようとしないプロジェクトはたいてい失敗
します。
・役員は部門間の対立を解決するために本来は存在する。
・プログラムは思った通りに動かない。書いた通りに動く。
・ITエンジニアは「コストを下げても誰にも褒められないが、一つ
でもトラブルを起こすとこっぴどく叱られる」状況にいつも置かれて
いますので、当然、それを考慮しコストを高くします。
・「こんなに投資したので今さら中止できない」というのは思考停止
です。本当に今後続けていくと黒字になるのか、中止にした方が
長期的に得なのかを経営層が徹底的に議論して判断する必要があり
ます。
・経営のスピードは、プロジェクトリーダーの数で決まる。
・社外の人間(SI)にプロジェクトリーダーは務まらない。
SIはプロジェクトを効率的に進め終了させることを目的とする
ので、お客様社内の経営視点を基準に物事を判断、調整する
ことが出来る人は少ないです。
・ITは道具ではなく、工場(身体で言えば血管)と同様です。
だからこそ、経営層の参加が不可欠なのです。
工場を作るのに建築屋だけに任せる会社はないでしょう。
ITも同じでIT部門だけに任せていても、会社に必要なITは出来ない
のです。
・技術の継承(PLの育成のため)のために、ITシステムの更改をする。
(ITレベルや業務レベルは変更しない場合)
・効果が数値で示せるならば、社長が判断する必要はない。
数値で示せない部分を考慮して判断するのが経営幹部の仕事。
・プラント型ITはビジネスそのものでありあってあたり前でなくて
は困るものです。「あるといくら儲かるか」よりも「なくても
ビジネスは回るのか?」を問うべきです。
・いつまでに誰が何をやるを明確にしないと組織は動かないのです。
・「俺10年後には会社にいないから」と長期の視点でものを考える事
を放棄している幹部が多いのも事実です。だから、部長、課長がITの
長期構想を考え、経営層に提案していくことが必要です。
・経営目線の成功プロジェクトを作れるかは、経営幹部次第です。
悔しいですが外部コンサルタントではそれが出来ません。
- 感想投稿日 : 2016年2月20日
- 読了日 : 2016年2月20日
- 本棚登録日 : 2016年2月20日
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