岡崎さんの本は『蔵書の苦しみ』の感想をこの覧で書いている。好きな人だ。でも、ぼくは岡崎さんは本、特に古本が好きでいつもその書評を書いている人ぐらいしか思っていなかった。ところが、本書を読めばわかるが、岡崎さんはとても多才な人で、映画、テレビ、音楽、芝居、落語、詩等々なんにでも興味を持っている。詩集まで出しているほどだ。だから、本だけのことが書いてあると思ったら大まちがい。トイレの話まである(でも、ぼくのようにどこでもできる人ではない。繊細なんだ)。本書はまさに岡崎武志ワールド知る絶好の本だ。ぼくも本が好きだが、読む範囲が偏っている。だから、こういう本を読むと、こんな本もあるのかと思って読んでみたくなる。(芸人さんはだいたい知っている)たとえば、プロレタリア作家の黒島伝治に瀬戸内海をスケッチしたエッセイがあったとか、四方田犬彦の『月島物語』。四方田が月島にずっと住んでいたとはしらなかった。お金を正面からあつかった西原理恵子の本とか。『ないもの、あります』なんて本はぜひ読んでみたい。たとえば「左うちわ」とか「自分を挙げる棚」とか。よくこんなことを考えた人がいたものだ。『小さいおうち』は買ったままだが、映画では描かれなかった夫婦の秘密が小説にはあるとか。挿絵は本人も言うように和田誠さんの影響大。代わりに画いたかと思うほどだ。短いエッセイはスペースの制約があるせいだが、時々わかりにくいものもあった。
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- 感想投稿日 : 2017年2月6日
- 本棚登録日 : 2017年2月6日
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