情報を読む力、学問する心 (シリーズ「自伝」my life my world)

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レビュー : 13
著者 :
qingxiuさん  未設定  未設定

この10月から大学の図書館長になったのを機に、前から気になっていた長尾さんの本を読んでみた。長尾さんは、画像処理、機械翻訳、電子図書館といった情報学の先端をリードしてきただけでなく、京大の総長、付属図書館をつとめ、そのあとは国会図書の館長を現在もつとめている人である。本人は「盲チョウ」以外の「チョウ」にはならないと言っていたようだが、学問だけでなく、行政においてもすぐれた能力をもった長尾さんのような人は希有である。おそらく、強引だとも思われたかもしれないが、長尾さんが先輩から教えられた「長と名のつく地位にいる人は」決断ができなくてはいけないということばを自ら実践してきたのだろう。ぼくも肝に銘じたい。長尾さんは情報学の先端を歩んできた人で、ほぼ10年おきにテーマを変えているという。そのテーマの選び方は、必死の思いで探すのだろうが、そのテーマに取り組み、それが熟成してきたら、その期間につぎのテーマを考え、新しいテーマに移るのだという。要するに流行にのるのでなく、流行をつくって、熟成させたあとは、あらたに流行をつくるのである。いわば開発型の学問ができる人である。本書で特に印象深いのは、「書物の解体」である。わたしたちは学生がコピペをやることを非難するが、わたしたちの知識が多くの先人のコピペではないかという。これまでの図書館は、本という単位をあつかっていたが、それが電子化されると、より小さな単位で知識を与えるようになるというのである。ぼくはこれを読んで、電子辞書を思い出した。電子辞書も個性をなくして、単に情報だけを与える装置になるのではないかと以前書いたことがあるが、それに似ているような気がした。

レビュー投稿日
2010年12月30日
本棚登録日
2010年12月30日
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