こうばしい日々 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1995年5月30日発売)
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感想 : 355
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過去に読んだような記憶があるけれど、記憶は遥か彼方でほぼ覚えていませんでした。20代に読んだ江國作品は姉から借りて読んでたので手元になく、パパッと読めそうと購入。

表題作の『こうばしい日々』はアメリカが舞台。日本人の小学生の男の子ダイが主人公。両親と大学生の姉、ガールフレンドのジル、給食のおばさん、姉のボーイフレンドや同級生、お父さんの会社の後輩・・・などなど魅力的な年上に囲まれて充実した、学び多き小学時代が描かれています。絵に描いたようなアメリカンな暮らしがすてき。

もう1作の『綿菓子』は日本が舞台で女の子が主人公。結婚した姉の元ボーイフレンドにほのかな恋心を抱くみのりが中学になるまでの成長を描いています。いろんな夫婦の形が短い中にキュッと描いてあって、とりわけおばあちゃんの愛の形とお母さんにメロンを買い続けるお父さんの隠れた愛情がすてきです。
2作は
・主人公は小学生高学年で恋をしている
・年のはなれた姉がいる
・そのボーイフレンドや旦那がからんでいる
・父親が無口でぶっきらぼう
・大人びた(もしくは大人の)友達がいる
など設定に共通点があります。
解説で川島誠さんもその部分を指摘しているけれど、この人の解説なんだか先生っぽいなぁ…と思ったら、児童文学作家かつ塾の先生らしい。なるほど。ちょっと嫌味ですごくわかりやすかったです。

ちなみに1990年に出版されたもので江國さんの初期の作品。産経児童出版文化賞と坪田譲治文学賞を受賞していて、小学生が主人公ということもあり、子供(小学校高学年くらい?)も読んで楽しいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 江國香織
感想投稿日 : 2015年8月2日
読了日 : 2015年8月2日
本棚登録日 : 2015年8月2日

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