夢の守り人 (新潮文庫)

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本棚登録 : 5014
レビュー : 468
著者 :
和里かりんさん ファンタジー・SF   読み終わった 

かっこいい無敵の女用心棒バルサが活躍するこのシリーズは、彼女の活躍の爽快感、痛快感と共に、彼女自身が、自分の在り様・・生き方に疑問を持ち、少なからず苦悩しているところが、なかなかに奥深くて、ジャンル的には児童書なのですが、大人が読んでも十分満足できるファンタジーです。

今回は、呪術師という、普通の暮らしからはみだしてしまった師弟が人生について考える。そんな話。

今いる場所は、自分のいるべき場所ではないかもしれない。どうしても拭えない居心地の悪さ。多分、大人になる手前の頃に、何となく人生の先行きが見えてしまい、誰もが一度は突き当たるそんな思い。トロガイ師とタンダは、その居心地の悪さを敏感に感じ、普通の村人の生活を捨てて呪術師になった。

でも、一見、自由に見えるその生活は、誰にも守ってもらうことの出来ないアウトローの生活であり、社会の枠組みから外れて、「自由」を手に入れるということは、「孤独」と隣り合わせなのだということ。それによって失うものは、決して少なくないのだという現実。「自分で生き方を選ぶ」とは、どういう事なのか。その辺がちゃんと書かれていて、少年少女には、興味深い内容なのではないかと思います。

今回タイトルになっている「夢の守り人」とは誰の事なのか?という事に気づいた時、闇に飲み込まれそうになるバルサの心を守っているのは、間違いなくタンダなのだと・・それがタンダの愛の形なのだと気づかされて、ちょっとほんわかした、いい気分になりました。

「精霊の守り人」では、威勢のいいバルサ姐さんに、いつも置いてきぼりな感じのタンダでしたが、本作では、二人の心はちゃんと繋がっていて、お互いかけがえのない存在で、支え合って生きている・・という事が本当に良く分かります。結婚という枠にハマっていなくても、もう二人は夫婦同然なのですよね。社会の枠から外れて生きる彼らには、そんな枠など、すでに気に止めることではないのかも知れません。

手の届く所に、自分の心の拠り所となる人がいる。それだけで、彼らはしあわせなのですから。。

レビュー投稿日
2009年12月9日
読了日
2009年12月8日
本棚登録日
2009年12月8日
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