小泉八雲を読んだのはこれで三作目になる。この話、読んだことないのに知ってる、という印象があり、その最初の出会いは落語で聞いたのか、絵本で読んだのか…もしかしたら何かのテレビで見たのかもしれないが、とにかく体にびっしり教を書いているという描写と、耳を引きちぎられる、というショッキングな描画ばかり覚えていた。しかし、今回改めて読んでみて、盲目の琵琶法師が平家の亡霊に平家物語を語る、という夜に映える展開を知り、なるほど思ったより結末に至るまで筆を尽くしているんだな、と新たな発見をしたのでした。大人になると、知らないことも色々わかってくるもんだなあと。何より、この話の凄い所は視覚描写に頼らず、聴覚と感覚によって芳一の周辺を描き出しているところである。登録したフレーズには、主にそのあたりをあげてみた。
それにしても、耳を引きちぎられた時も記憶にあるよりずっと静かでした。一体私は昔出会った作品の細部をどのように覚えているのか…
あと余談だが訳者が戸川明三(=秋骨)だった!秋骨といば藤村の小説にも出てくる学友。思いがけない接点に驚き。深く掘ればさらに何か出てくるのかもしれませんね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文アル読書会
- 感想投稿日 : 2017年7月13日
- 読了日 : 2017年7月7日
- 本棚登録日 : 2017年7月7日
みんなの感想をみる