主人公キークの願いは「パパに生きていてほしい」、ひたすらにそれだけである。
そのために少女の思考は、「パパが生きている可能性」を大きくするために、飼っている犬やネズミの死を望むというショッキングな方向へと傾いていく。
そんなキークの思考と行動を周りの大人(ペットショップの店員や母親たち)がきちんと止めてくれる。
特に飼い犬のモナを歩道橋から落とそうとするキークを救う通りすがりの男性は、彼女を叱り、ちゃんと間違いを指摘し、そしてキークの不安を聞いてくれる。
ああ、いい大人だなぁとしみじみ思う。
子どもの間違った行動を、大人が「きちんと」止める。それはとても大事なことではないだろうか。特に幼い子どもにとっては。
それがきちんと描かれているところがいいなぁと思った。
ただ、最後のほうの場面で、学校の授業で先生がキークに自分の父親のことを話すように促していたけど、自分がキークの立場だったら……と考えたら、ちょっと嫌だな、と思ってしまった。
その後の放課後の出来事として、「うんざりした気持ちになったモナ」が、黒い犬の鼻先にガブリとかみついて、くさいおならをしたのが、そんな積み重ねられたわずらわしさを吹き飛ばすようで小気味よかった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
さか
- 感想投稿日 : 2012年8月22日
- 読了日 : 2012年8月22日
- 本棚登録日 : 2012年8月3日
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