BANANA FISH (8) (小学館文庫 よA 18)

著者 :
  • 小学館 (1997年4月17日発売)
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感想 : 15
5

今まで生きてきた中で一番幸福だ、とアッシュが言うシーンが胸につまった。アッシュは人の上に立ち孤高の王になれる素質を持った人間で、1人で生きていける人間だ、とみんなは言う。でも彼はそんなことちっとも望んでいるわけじゃない。アッシュはただ1番大事な友達を守りたいだけだ。英二を守るのはただ英二が弱っちいからってだけじゃなく、アッシュ自身のためなんだと思う。アッシュは本当は、1人で生きていけるわけじゃない。だってもう英二と出会って、何の見返りもなく自分を思ってくれる人間がこの世にいるという尊い事実を知ってしまった。以前に、こいつ(英二)が無事でないとだめなんだ、と言っていたように、本当に、だめなんだろうと思う。英二が死んだらだめなんだ。アッシュの世界を照らしているのは英二だから、彼がいないとだめなんだ。だから早く英二とアッシュを会わせてやってくれ…頼む…
英二がユーシスに向かって、僕がそうであるように、彼も僕を大切に思ってくれてるってことだ!みたいなことを言ったとき、すごく安心してしまった。そうなんだよ、守られっぱなしで一方通行みたいに見えるけど、釣り合いが取れていないように見えるけど、そうじゃなくて、大切だからそうしてるんだよ。
ユーシスといえば彼も彼で憎めない。彼はアッシュに焦がれているんだと思う。ユーシスはアッシュと似ているから、もしユーシスに英二のような存在がいたら、きっとアッシュの気持ちが1番よく分かったんだろうな…でも気質的に、英二のようなタイプがユーシスの心の中に入るのは難しい気もするけれど。
ユーシスは知恵も実力もあるから、そういう面では英二よりはアッシュの力になってやれる。ユーシスは自分を選んで欲しかったのかな…とまで考えるのは妄想の行き過ぎだろうか。なぜ英二がアッシュのそばに置かれているのか、気を許されているのか、ユーシスには分からないんだろう。聡いから分かっているのかもしれないけど、分かっているからこそ英二が憎いのかもしれない。
なんにせよ素敵な作品で、読み終わるのがとても惜しい……

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2017年11月27日
読了日 : 2017年11月27日
本棚登録日 : 2017年11月27日

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