大菩薩峠〈1〉 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.79
  • (10)
  • (12)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 119
感想 : 18
4

「音無しの構え」を有する机竜之助と、仇討ちを狙う宇津木兵馬の話を大筋とした群像劇。
文章は時に厳しく、時に優しく。小説というよりは弁士の語り口調に近い。

P246
世は混乱の時といえ、さすが千有余年の王城の地には佳気があって、町の中には険呑な空気が立て込めて、ややもすれば嫉刃が走るのに、こうして、朧月夜に、鴨川の水の音を聞いて、勾配の緩やかな三条の大橋を前に、花に匂う華頂山、霧に迷う如意ケ岳、祇園から八坂の塔の眠れるように、清水より大谷へ、煙とも霧ともつかぬ柔らかな夜の水蒸気が、ふうわりと棚引いて、天上の美人が甘い眠りに落ちていくような気持に、ひたひたと浸けられてゆく時は、骨もおのずから溶ける心地がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年2月6日
読了日 : 2018年2月6日
本棚登録日 : 2018年2月6日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする