5話からなる短編集。
「るんびにの子供」
主人公の女性は幼稚園の頃から人ならざる女の子が見える。その女の子は時々彼女の前に現れて、大人になって結婚してからも時々見られる。それは彼女の前だけでなく同居する嫌な姑の前にも現れてー。
話の内容どうこうよりも、この話の序盤の言葉に何となく惹かれた。人は子供から大人に成長する、というのが普通の考えだけど、子供はそれ自体で完結していて、大きくなるにつれて生来の能力を手放していくという考え。以前、時の流れを未来から過去に進んでいるというイメージでいる人の事を思い出した。
「柘榴の家」
強盗をして警察に追われる青年は見知らぬ家に上がり込む。そこには認知症らしき老女がいて彼の事を孫だと思いこんでいる。それを利用して彼はそこに居着くがー。
この話を読んで、「え?この本もしかして前に読んでた?」と思った。似たような設定の本を昔読んだ記憶がある。それの結末はどうなったのか覚えてない。
「手袋」
犬の散歩中に片っぽの手袋を拾った女性。
彼女には無神経な妹がいて彼女は妹の存在にいつも神経を逆なでされて怒りがたまっている。
やがて手袋の持ち主が判明してー。
これは主人公の女性の気持ちが少なからず理解できた。私も同じような妹がいるから。私の中にも相当根深い怒りがたまっているのは自覚している。
「キリコ」
キリコという義姉について語る二人の女性。
キリコは占い師の家系の出で、人を呪い殺す術を知っていたのでは・・・と語り合う。
キリコがどうこうよりも、二人の女性の存在にちょっと驚いて少し読み返してしまった。
「とびだす絵本」
親戚の家で子供の頃の事を追憶する男性。
彼には仲の良い幼馴染の女の子がいて、その子との忘れがたい思い出がある。
薄い本で、すぐに読めてしまう。
その分、読み終えてすぐに忘れてしまうような印象の話ばかりだった。
やはり、前に読んだ事あったような・・・と、読み終えてすら思ってしまった。
- 感想投稿日 : 2021年1月22日
- 読了日 : 2021年1月22日
- 本棚登録日 : 2021年1月22日
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