私がこの本の中で共感できると思ったのは次の詩です。
-苦しみの日々 哀しみの日々-
苦しみの日々
哀しみの日々
それはひとを少しは深くするだろう
わずか五ミリぐらいではあろうけど
さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき、初めて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと
少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
やがては解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけど
(わからないよりはいいだろう)
苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである
受けとめるしかない
折々の小さな刺や 病でさえも
はしゃぎや浮かれのなかには
自己省察の要素は皆無なのだから
ちょっとこの詩は重たい感じがありますが、ユーモアのある詩も多く、中にはマザー・テレサ、多分元サーカー選手の中田のことを詩ったのだろうと思われる詩もありました。
作者の茨木のり子さんは2006年に亡くなられています。
私は詩というものは興味がなかった・・・というか苦手でした。
ひとりよがりなイメージが多く、分からない。
それに言葉が「痛い」という感覚があったんです。
ですが、最近いろんな言葉ををしみじみと感じ入って見るようになりました。
この詩集が今の私の目にとまったのも出会いだな~としみじみ思います。
- 感想投稿日 : 2013年8月7日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年8月7日
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