ロックが音楽ジャンルではなく、ムーブメントだった時代。ラジオにかじりつき、FM放送から流れる曲に息を止めてタイミング合わせ、録音ボタンを押していた。まさに同じ。本書に書かれている奥田少年の音楽体験は、最初から最後まで自分のそれとかなりの部分がぴったりシンクロし、当時の記憶を懐かしく思い起こしながら読んだ。
他人の音楽遍歴や評論は、いつもそれほど共感できなくてそれほど面白いと思ったことがないが、本書はどんぴしゃだった。しかし、ただそれだけではなく、ところどころ作者が短くぽろりともらす意見、考察が憎いぐらい気がきいていて、なるほどそうだと膝を叩きたくなるんですね。そこらへんは、さすが力のある人気作家、着眼点、表現力に感心させられ、本当にうまいと思う。
音楽のジャンルは生き物のように、誕生があり、ピークがあり、衰退があると思う。自分も今のポップミュージックは、80年代にあらゆることをやりつくしてしまって、以降、もちろん時々おお、っと思うようなヒット曲は出てくるものの、あらかたの楽曲はすでに原型があるものの再生産だと思う。
でも、エルビスやビートルズがある時いきなり誕生したように、そのうち、これまで誰も聴いたことのない、まったく新しい音楽が産まれるんだろうな、と漠然と思うし、ぜひ聴いてみたいなと思う。
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- 感想投稿日 : 2017年4月28日
- 読了日 : 2017年2月17日
- 本棚登録日 : 2017年4月28日
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