メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)

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本棚登録 : 1582
レビュー : 143
著者 :
katohirokiさん SF   読み終わった 

その言うや善し。人がまさに死ぬそのときに語ったことは、単なる言葉ではない。それはぼくという存在に根を張って、未来に向け枝を伸ばしていく生命の一部なのだ。

人間はいつだって時間がないんだ。そうやって互いの距離ばかり探り合っていては、結局何ひとつ伝わらない。けれど、ぼくらはいつだって、それをさぼって先送りにしてしまう。

すでに決した過去の過ちを償うことよりも、不確定な未来に道しるべを立てるほうが、どれほど価値ある行いだろうか。重石を地面に下ろすより、持ち上げるほうが辛いのは当たり前だ。

人は誰もが父親になれるわけではない。ある男が父親になる境界、それは愛する人が自分の血を分けた子供を身ごもった時点でも、お腹から子供が生まれ出た時点でもない。自分の子を引き受けて、共に生きる決意を絶対のものとして固めたそのときが、人が父親として生起する瞬間なのだ。

誰かと比べて勝ち負けを九官鳥のように喧しくさえずるのは、確かに馬鹿げているだろう。だが、自分自身に対する戦いには、確かに勝敗が存在するんだ。

父親、母親、わずかでも自分の面影を見出すことの出来る、年老いた肉親の死。それを看取るということは、いずれ自分が迎える死の予行演習でもあるのだ。日常避けてきたその想像を、肉親の死によって否応なく見せつけられること。それによって、人は自分に残された時間を何に用いたらよいのか、真剣に考えざるを得なくなる。



あとがきが、またひとつの物語になっている。境地というものなのだろうか。

レビュー投稿日
2012年3月1日
読了日
2012年3月1日
本棚登録日
2012年2月29日
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