空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

著者 :
  • イースト・プレス (2009年10月22日発売)
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【総評】
空気を読んでいたらバカになる、とは多少大げさな表現かもしれないが、事実ではある。要するに付和雷同ばかりしないで自分のアタマで考えろ、ということだ。



弾さんの視点は常に多角的で、消費者としてサービスやモノを見るだけでなく、まさに作り手や宣伝する人などのサードパーティーの視点がそこに隣接してある。



そんな彼は物心つく前から本を読んでいて、小学生の頃、ばかみたいな量、図書館から本を借りてきてよみ、1日に読む本が50冊に満たないと、少ないなと感じたのだという。



中学の頃すでに先生より賢く、学校に通っても得るものはないと、親公認で不登校になったという。



世間を知らない子供は、無知だからこそ強く、常識や縛りがないから無限に成長するものだ。現東大情報学府の暦本教授は小5でfortran(数値計算に特化したプログラミング言語)を組んでいたらしいし、本人達にとってみればただの遊びだろうが、ぼくら大人が考えると、ちょっと笑ってしまう。


そういえば読んでいて、大学の友人が、読書を「知的自慰」行為だと評したことを思い出した。



表現はどうあれ、彼も必要に迫られて読書をするのではなく、それをただの娯楽としている点で、著者の弾さんと共通している。



ただ、娯楽としてなら他に無限に既存のものがある。本がその中で娯楽として抜きんでていると僕らに感じさせるのは、知識欲を満たしてくれるからか、どこか見知らぬ処へ旅させてくれるからか。。。



読書がいま、自分にとって以前にも増して魅力的に思えるのは、ひとえに人生経験を積んだからだ。想像がよりリアルになる。下にも引用しているが、何かに対して冷静なスタンスをとりたいなら、一度はそれにハマって冷めたほうがいい、というのは、恋愛についてよく当てはまるし、漫画の描き手や出版社、昨今のトレンドといった地政学的な視点から、ジャンプのワンピースを読むようになったことは、自分的に成長したと感じる。



もう少しわかりやすく言うなら、童貞や処女の中学生が官能小説を読んでも大して面白くないということだ。AVにしたって実体験とはかけ離れている。



だから経験を積んだ大人でなければ、官能小説を本当に”読む”ことはできないし、ノベライズのPCゲームを”クリア”することもできないのだ。



『ゴンズイ玉』とか『肉団子』という文字列でにやつけるイマジネーションはお持ちだろうか?



そして想像力が、ディスプレイを通じて伝わるより多くのリアルを脳内に感じさせられるようになった時に初めて、無機質な文字の羅列や、キャンパスのシミが宇宙に変わるのだ。



その平衡点の向こう側に、居続けたいものだ。





【気になったフレーズ】
・テレビにしろ新聞にしろ、一方的に押し付けてくる「プッシュ」型の情報はすべて捨ててしまえ。

・人に話したり、ブログやノートに書くことで、血肉化される。

・『星新一』、『小松左京』、『筒井康隆』の作品は、すべて当たり。

・自分が無意識に考えさせられている点に気づく一番いい方法が、旅をすること。

・大抵日本の大企業の創立者なり社長なりは、自伝の本を書き、従業員を洗脳する。

・何かに対して冷静なスタンスをとりたいなら、一度はそれにハマって冷めたほうがいい。

・フィクションの読書とは、旅である。

・1時間で10冊読むには、まずは目次から読む。

・『6次の隔たり』・・・自分の知り合いを6人以上紹介すると、世界中の人にたどり着ける。

・自分の意見に一番逆らう本を読め。

・通貨として流通しているお金とうのは7%くらいしかない。あとは数字が信用をもとに動いているだけ。

・ネット上のトラフィックの2割はエロ。それほどエロは人にとって大きい。

・エロ小説で欲情できるイマジネーションを持て。

・長尺した漫画は、読者に物語を消費させたい作り手による産物。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エンタメ
感想投稿日 : 2009年11月1日
読了日 : 2009年11月1日
本棚登録日 : 2009年11月1日

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