そして皇帝は、三人が見たこともないラクダの特徴を、なぜあれほどまで正確にいいあらわすことができたのかたずねた。
皇帝を満足させようと、まずいちばん上の王子が口をひらいた。
「陛下、ラクダは片目が見えなかったはずです。なぜならば、われわれが歩いてきた道ぞいでは、よく生えた側の草はまったく食べられておらず、もういっぽうのよく生えていない側の草が食べられていたからです。もし片目が欠けていなかったら、草がよく生えているほうをえらんで、あまり生えていないほうをえらぶことはなかったと思います。」
彼の話に、二番目の王子が口をはさんだ。
「ラクダの歯が一本欠けていることがわかりました。なぜならば、道ぞいの草がほとんど一足ごとに、ラクダの歯ほぼ一本分の大きさだけ食べのこされていたからです。」
「わたくしは」と、末の王子がいった。「そのラクダの足のうちの一本が不自由であると考えました。なぜかといいますと、地面にのこされた足あとをよく見ると、一本の足をひきずっていたことが見てとれたからです。」
(本文p.23-24)
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2009年06月
- 感想投稿日 : 2009年6月18日
- 読了日 : 2009年6月18日
- 本棚登録日 : 2009年6月18日
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