官僚

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kaz22さん 政治   読み終わった 

小泉元首相秘書官による官僚論をインタビュー形式で聴きだした内容。
小泉政権の支持率を支えたメディア対策、官邸主導を実現したノウハウに興味がわき、購入。自民党政治家の秘書官のため、菅政権の評価や原発推進の各論において意見の相違はありますが、官僚の操縦術について圧倒的な知見を披露している。特に興味深かったのは、次の3点。

まず、政治家の権力の源泉としての官僚の「人事」。2年ほど大臣を続けられれば、いい仕事をした官僚に人事で報いることができる。小泉政権では、内閣のチーム小泉の参事官になれれば、省庁に戻ってからも出世が早いと官僚が認識するに至った。これによって、能力のある若手を登用でき、好循環を作ることに成功した。最近の短命政権の弱みの一つは、この人事権限を行使できないことだろう。

次に、チーム小泉では、各省出身の官僚を向かい合わせに座らせ、出身省庁との調整の電話が他のメンバーに聞こえるようにした。さらに、原則小泉元首相は参事官たちと一緒に昼食を取り、自分の考えを伝え、また種々の論点について質問していった。これによって、省益でなく官邸のチームとしての一体感を醸成した。

また、「舞台装置はひとつに集約すべし」といことを主張し、民主党政権で乱立した審議会を批判した。自民党政権の延長線上でやっていてはダメな政策(例えば、資源エネ庁総合資源エネルギー調査会のエネルギー基本計画:『原発ホワイトアウト』ではこれを計画経済的で毛沢東の大躍進政策級と痛烈に批判している)も多かったが、確かに超分厚い官僚の壁に対して民主党の国家戦略室構想は無残にも敗北した。その点、小泉政権では既存の済財政諮問会議を最も重要な政策会議と位置づけ、その提言を内閣が閣議決定することによって、各省庁に法的拘束力を負わせ、方針を徹底させることに成功したという事実は、次に野党が政権奪取した際に大いに参考になる点である。

今、飯島さんは原発推進の立場の安倍政権のメディア戦略アドバイザーとして、柏崎刈羽の管轄の泉田裕彦新潟県知事に関する事実無根の誹謗中傷をマスコミに発信していて、なんだか尊敬できないのですが、長年に渡って小泉氏の人気と改革を支えてきた手腕には学ぶべき点はまだまだ多いと思われます。

レビュー投稿日
2014年1月2日
読了日
2013年1月7日
本棚登録日
2014年1月2日
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