秀吉の近臣であった小西行長が文禄の役の先鋒として出兵し、明と和議を結ぶため内藤如安を使者として差し向けるまでの物語。
小西行長は商人の子であり、生え抜きの武士ではない。そのため武士の文化になじめない所がある。さらに伴天連追放令後もキリシタンであり続けるなど他の秀吉旗下の大名たちから少なからず浮いた所がある。
そんな居心地の悪い中で少なからず悩みながらも、自分の与えられた仕事にひたすらに打ち込み、任務を全うしようとする小西行長像は、従来の豪放磊落な戦国大名たちのイメージからは離れているが、現代社会に生きる我々には身につまされることしきりである。
ただ一冊に納めるには切りのいい所ではあったのだろうけれど、もう少し書いて貰いたかった気がする。しかしアスキーメディアワークス文庫は新しいレーベルであり、続編を出すというのは、ある程度一冊目が売れていないと難しいという事情はあるだろう。それにこのペースで関ヶ原まで書いたら何冊になるのかと考えると、やはり仕方ないのかとも思う。新選組モノは箱館までたどり着くことが少ないのと同じだろうか。しかしなんとも切りが悪い。その点だけが残念である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2012年11月15日
- 読了日 : 2012年11月4日
- 本棚登録日 : 2012年10月11日
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