"魂の旅"の書。手や目の機能を失ったコンデは夫であり翻訳家のリシャールの支えで刊行したと訳者あとがきで知る。世界の空と海を跨ぎ人と食の出会いに臆病さを隠し個性と自由を味わう。素直な世辞のない文が終盤は穏やかさが包み目頭が熱くなる。
心は世界を旅した気分になる。料理は伝統的なものは守られる味とし、食の味覚は自由というコンデ。美味しいか不味いかの匙加減に信憑性を感じ読んでいて自分もその気分になっていくのが面白かった。ありとあらゆる土地に赴き、味わい、人と会い、語り合う。インドの現象とマザーテレサの神的オーラは奇跡的。困難で複雑で余裕のなさは異邦人を孤独にする。当初の日本の東京の印象がリアルで共感を覚えた。しかし日本は好みではないのかと落胆もしたが後半で日本を好きになっていて嬉しかった。
女性は母や祖母から料理や家事を受け継ぐ。私も母や祖母を懐かしむ。
老いることも織り込められている。母が海外旅行を諦める瞬間を思い出し、コンデの無念さを思った。いつまでも執筆活動を続けてほしいと思う。
この本は手元に置き、折に触れて手とりたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年11月22日
- 読了日 : 2023年11月22日
- 本棚登録日 : 2023年11月21日
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